概要
夕方を一匹、飼っていた。餌は失われた場所だった。
その町には三つの夕方があった。
ひとつは市民のために。ひとつは王宮のために。そして三番目の夕方は、市立博物館の地下で飼育されていた。
魚のように泳ぐ夕方は、失われた場所を描いた絵葉書を食べる。
その体の中では、取り壊された停車場に風が吹き、海に沈んだ村の井戸から、誰とも知れない者が空の桶を引き上げていた。
時計は進み、建物は朽ち、草は伸びる。
ただし、夕方だけは終わらなかった。
ある木曜日、飼育係の「私」は、まだ存在している理髪店の絵葉書を誤って与えてしまう。
翌朝、店は消えていた。
やがて博物館にも取り壊しの日が訪れる。
失われた場所と、終わることのない時間。
誰もいない停車場に残された傘と、それに向かって手を振る少女。
存在することと、存在したことのあいだに漂う、静かな幻想掌編。
ひとつは市民のために。ひとつは王宮のために。そして三番目の夕方は、市立博物館の地下で飼育されていた。
魚のように泳ぐ夕方は、失われた場所を描いた絵葉書を食べる。
その体の中では、取り壊された停車場に風が吹き、海に沈んだ村の井戸から、誰とも知れない者が空の桶を引き上げていた。
時計は進み、建物は朽ち、草は伸びる。
ただし、夕方だけは終わらなかった。
ある木曜日、飼育係の「私」は、まだ存在している理髪店の絵葉書を誤って与えてしまう。
翌朝、店は消えていた。
やがて博物館にも取り壊しの日が訪れる。
失われた場所と、終わることのない時間。
誰もいない停車場に残された傘と、それに向かって手を振る少女。
存在することと、存在したことのあいだに漂う、静かな幻想掌編。
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