概要
牛はもういないのに、血の臭いだけが毎年来る。
牛の血の臭いがする。夏になると毎年来る。ただの山の匂いだとわかっているのに鼻の奥は血だと言うし、牛なんてもうこの辺りにはいないのだからなおさら変で、変なのに来る。
全部、親父が腐った冷凍肉を食ってぶっ倒れたところから始まった。田んぼは枯れて、近所の連中は黙って杭を打ち始めて、親父は一週間いなくなって、見知らぬ男を連れて帰ってきた。歯が三本しかなくて、縁側で釘ばかり直している、ガマという男だった。
そこへ鹿児島から黒い種牛が来た。一週間後、ガマが縁側に走り込んできて、種牛が暴れて他の牛を殺し始めたと言った。親父は魚と柿の絵を描いていた。なぜその二つなのかは知らない。知らないまま、俺は黒馬の背にしがみついて山を下りた。
戦後の奈良の山間。牛と親父と、ガマと、星を見上げる馬「星見」の話。
全部、親父が腐った冷凍肉を食ってぶっ倒れたところから始まった。田んぼは枯れて、近所の連中は黙って杭を打ち始めて、親父は一週間いなくなって、見知らぬ男を連れて帰ってきた。歯が三本しかなくて、縁側で釘ばかり直している、ガマという男だった。
そこへ鹿児島から黒い種牛が来た。一週間後、ガマが縁側に走り込んできて、種牛が暴れて他の牛を殺し始めたと言った。親父は魚と柿の絵を描いていた。なぜその二つなのかは知らない。知らないまま、俺は黒馬の背にしがみついて山を下りた。
戦後の奈良の山間。牛と親父と、ガマと、星を見上げる馬「星見」の話。
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