概要
喪主は私だ。いや、前金を払った私だ。――本人は、生きている。
報告書の枚数は部でいちばん少なく、送別会もなく、受付には三年通っても名前を覚えてもらえなかった。
王国対外情報部の運用官ヒュー・アシュトン(47)は、書類の上では成果ゼロのまま、静かに引退した。
その翌朝、国境の向こうのいくつもの郵便局で、何年も預けられていた古い封筒が配達される。
――これが届いたなら、私はもう、ここにはいない。
二日後、王都郊外の隠れ家に、亡命者が押しかけてきた。
帝国の老将軍。連合の豪商。教国の魔導師。公国の天才暗号官。
彼が二十五年かけて寝返らせ、一度も切り捨てなかった協力者たちだ。
彼が死んだと思って、国も地位も捨ててきた。そして、口をそろえて言う。
「あの人以外とは話さない」
本人が玄関で「生きている」と言っても、話は止まらない。
喪主は誰が務めるか。いちば
王国対外情報部の運用官ヒュー・アシュトン(47)は、書類の上では成果ゼロのまま、静かに引退した。
その翌朝、国境の向こうのいくつもの郵便局で、何年も預けられていた古い封筒が配達される。
――これが届いたなら、私はもう、ここにはいない。
二日後、王都郊外の隠れ家に、亡命者が押しかけてきた。
帝国の老将軍。連合の豪商。教国の魔導師。公国の天才暗号官。
彼が二十五年かけて寝返らせ、一度も切り捨てなかった協力者たちだ。
彼が死んだと思って、国も地位も捨ててきた。そして、口をそろえて言う。
「あの人以外とは話さない」
本人が玄関で「生きている」と言っても、話は止まらない。
喪主は誰が務めるか。いちば
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