概要
妖たちは彼を「妖縁師」と呼ぶ。本人は、名乗らない。
神社仏閣専門のライターで、ガイドの仕事もしている白瀬湊には、人には見えないものが見える。苔むした狛犬、百年を生きた御神木、古い喫茶店のコーヒーミル。長い時を過ごしたものや、強い思いがこもったものに宿る妖たちだ。人前では見えないふりをして、どうしても話すときは電話のふりをする。それが、亡き祖母の教えだった。ところが、京都の静かな里をめぐるうちに、妖たちは湊を「妖縁師」と呼んで、次々に頼みごとをしてくるようになる。「そんな大層なもんちゃうて」と困りながら、湊は、人と人の、人と妖の、妖どうしの、見えない縁をひとつずつ結んでいく。初夏の大原から、翌年の初夏まで。京都を舞台にした、一話完結の、あたたかい妖ものの連作です。(全8話)
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