概要
「考えさせて」の半年は、俺の方から終わらせた。
「考えさせて」。四月十日、告白した俺に白石栞はそう言った。それから半年、返事は来なかった。彼女は告白されると必ず「考えさせて」と言う。断らない。答えない。学校はそれを「保留の姫」と呼び、待たされている男子を「栞待ち」と呼んで笑う。俺はその中でいちばん長く待った男だ。だから十月二日の放課後、隣のクラスの扉を開けて、俺の方から言った。「告白、取り下げます。返事は要りません」。それだけのはずだった。なのに翌日から、一度も自分から誰かを追ったことのない彼女が、俺の教室に来る。「まだ返事してないのに」「返事、受け取って」。受け取りません。もう聞いていないので。待たせた側が待つ側へ回る、半年遅れの恋の話。
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