概要
物集院秋津シリーズ 十峰村の天狗 劇中古文書 物集院秋津注釈入り
人同ジ山ニ住ム。
然レド見ル山ハ同ジニアラズ。
――『十峰山入峰録』
物集院文庫所蔵『十峰山入峰録』。
江戸初期、修験道場・峰雲院において、導師の継承をめぐる争いがあった。記録に名を残すのは、蓮真と道玄。人望を集めた者と、才覚をもって山を立て直した者である。
二人が何を考え、何を望んでいたのか。それを知る術は、残された記録のほかにはない。
ただ、導師となった道玄は、年月を経るにつれて人を遠ざけ、夜ごと山中を巡るようになったという。やがて天狗ノ峯に籠もった彼は、人々から大天狗と呼ばれるに至る。
夜の法螺貝。闇に光る赤い目。山中を歩く大天狗。
なるほど、怪異譚としては申し分のない材料である。
しかし、記録に怪異が記されていることと、怪異が実在したこととは、同義ではない。ましてや、後
然レド見ル山ハ同ジニアラズ。
――『十峰山入峰録』
物集院文庫所蔵『十峰山入峰録』。
江戸初期、修験道場・峰雲院において、導師の継承をめぐる争いがあった。記録に名を残すのは、蓮真と道玄。人望を集めた者と、才覚をもって山を立て直した者である。
二人が何を考え、何を望んでいたのか。それを知る術は、残された記録のほかにはない。
ただ、導師となった道玄は、年月を経るにつれて人を遠ざけ、夜ごと山中を巡るようになったという。やがて天狗ノ峯に籠もった彼は、人々から大天狗と呼ばれるに至る。
夜の法螺貝。闇に光る赤い目。山中を歩く大天狗。
なるほど、怪異譚としては申し分のない材料である。
しかし、記録に怪異が記されていることと、怪異が実在したこととは、同義ではない。ましてや、後
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