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概要
名は、呼ばれた回数でできている。 呼ばれない名は消えない——置かれる。
ここは記名の作法が行き届いた日常である。
名は、呼ばれた回数でできている。ゆえに呼ばれない名は消えない——置かれる。届くが、取りに来られない。
小学校の事務をする碓氷千夏は、前年度の出席簿の転出欄に、消されないまま一年残った一行を見る。手は、その手前で止まる。読むだけで、誰も声に出さない。
配送の暮林蒼には、剥がされないまま重なった宛名票が四枚。介護支援専門員の侘田すみれには、三十八件の預かり札のうち、宛先のない一枚。四巻目、名の書かれる場所すべてに住む、さくら。
四巻は、正しく呼ばれる巻、呼び間違えられる巻、訊き返される巻、呼ばれない巻である。返した者が、次の巻の語り手になる。名の持ち主は、最後まで置かれない。まだ片づいていない荷物の目録である。
名は、呼ばれた回数でできている。ゆえに呼ばれない名は消えない——置かれる。届くが、取りに来られない。
小学校の事務をする碓氷千夏は、前年度の出席簿の転出欄に、消されないまま一年残った一行を見る。手は、その手前で止まる。読むだけで、誰も声に出さない。
配送の暮林蒼には、剥がされないまま重なった宛名票が四枚。介護支援専門員の侘田すみれには、三十八件の預かり札のうち、宛先のない一枚。四巻目、名の書かれる場所すべてに住む、さくら。
四巻は、正しく呼ばれる巻、呼び間違えられる巻、訊き返される巻、呼ばれない巻である。返した者が、次の巻の語り手になる。名の持ち主は、最後まで置かれない。まだ片づいていない荷物の目録である。
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