概要
常連を締め出されたバンドマンが、偽の観覧券を三百枚刷る
八〇年代の終わりの東京。ノイズバンドのフロントマン・桑原は、五年のあいだ舞台の上から常連客を数えては、あだ名を付けて、雑誌の連載で毎週ひとりずつ「変な人」として売ってきた。笑って書きはするけれど、あの常連の連れだとは思われたくない。
はじめて呼ばれた大きなライブハウスで、入口に立つ〈店主〉が、昔からの常連六人を顎ひとつで追い返す。背広で床に正座して膝で拍手する男、毎週ちがう名前を受付に書く女、七十の老人。「あんたのとこの客か」と訊かれて、桑原は答えなかった。
六週あとのテレビ収録に、桑原は偽の観覧券を三百枚刷って、六人を普通の客に化けさせる。自分の名前は、隠したまま。
独房の短い鉛筆で書かれた、笑えて少し不穏な、見る側と見られる側の話。
序と終をふくめて全四十五篇、一話千六百字前後。完
はじめて呼ばれた大きなライブハウスで、入口に立つ〈店主〉が、昔からの常連六人を顎ひとつで追い返す。背広で床に正座して膝で拍手する男、毎週ちがう名前を受付に書く女、七十の老人。「あんたのとこの客か」と訊かれて、桑原は答えなかった。
六週あとのテレビ収録に、桑原は偽の観覧券を三百枚刷って、六人を普通の客に化けさせる。自分の名前は、隠したまま。
独房の短い鉛筆で書かれた、笑えて少し不穏な、見る側と見られる側の話。
序と終をふくめて全四十五篇、一話千六百字前後。完
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