概要
点呼。名乗れ。明日消える名前は、今夜のうちに守る。
十月のある午前三時、電気も電波もエンジンも、電池の一本まで止まった。動くのは火と自転車と、二十年前に閉鎖されたはずの匿名掲示板「深夜板」だけ。全ての端末の暗い画面に、日没から夜明けのあいだだけ、その板が浮かぶ。
コンビニ夜勤の俺・宇野朔は、停止の夜に常連「夜番」が立てた「生存者点呼スレ」で、毎晩二十一時に名乗る五十人のひとりだった。三日目の夜、夜番が点呼に出ない。最後の書き込みは俺への指名と、スレ主の合言葉。引き継いだ瞬間、スレの一番下に誰にも見えない灰色の一行が浮かんだ。「四日目 二十一時 点呼 名乗り四十八」――明日の点呼の結果と、消える三人の名前。
夜には足音だけの「夜回り」が街を歩き、外にいた者は朝、靴だけを残して消える。昼に走り、夜に数える。名乗った数が減ったら、減った名前を朝いち
コンビニ夜勤の俺・宇野朔は、停止の夜に常連「夜番」が立てた「生存者点呼スレ」で、毎晩二十一時に名乗る五十人のひとりだった。三日目の夜、夜番が点呼に出ない。最後の書き込みは俺への指名と、スレ主の合言葉。引き継いだ瞬間、スレの一番下に誰にも見えない灰色の一行が浮かんだ。「四日目 二十一時 点呼 名乗り四十八」――明日の点呼の結果と、消える三人の名前。
夜には足音だけの「夜回り」が街を歩き、外にいた者は朝、靴だけを残して消える。昼に走り、夜に数える。名乗った数が減ったら、減った名前を朝いち
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