概要
日本語は、ぜんぶ辞書どおりに信じています。
高二の春、隣の家に越してきたのはフィンランドからの留学生アイノ・ヴィルタネン。金髪碧眼、成績優秀、日本語はほぼ完璧――ただし、辞書どおりに。「困ったらいつでも頼って」と社交辞令で言った夜、インターホンが鳴った。「手を貸してくれ」と言えば本当に手を差し出し、そのまま登下校ずっと繋いでくる。「胃袋を掴まれた」と漏らせば翌朝から弁当を作ってきて、「掴んだのなら、私はあなたを離さないことになる?」と真顔で聞く。そして「一生のお願い」と言った日、彼女は一生分の契約書を持ってきた。クラスの誤解は深まり、幼馴染は荒れ、俺は日本語に慎重になるしかない。慣用句が一つ片づくたび、彼女は本当の意味を一つ覚え、距離が一歩縮まる。けれど雨の日、彼女のノートに「慣用句・正しい意味一覧」が最初から全部書いてあるのを見つけ
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