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概要
この家で「もういいよ」と答えた子は、二度と帰ってこない。
「――もういいよ」
取り壊しの決まった古い屋敷の奥から、子どもの声がした。
それは、20年前に消えた幼なじみの声だった。
東京でシステムエンジニアとして働く真柴蒼、28歳。
管理人の母がけがをしたため、蒼は故郷の町に戻り、ある屋敷の解体に立ち会うことになる。
旧家・久世家。町の子どもたちが「鬼灯屋敷」と呼ぶ家。
庭一面に朱色の鬼灯が生い茂るその屋敷は、蒼にとって、二度と足を踏み入れたくない場所だった。
20年前の夏。
8歳の蒼は、この屋敷で幼なじみの柚葉とかくれんぼをした。
鬼は、蒼だった。
「蒼くん、ぜったい見つけてね」
そう言って隠れた柚葉は、それきり帰ってこなかった。
取り壊しまで、あと10日。
屋敷の中では、時間がずれる。30分のつもりが3時間。
誰もいない廊下を、裸足の
取り壊しの決まった古い屋敷の奥から、子どもの声がした。
それは、20年前に消えた幼なじみの声だった。
東京でシステムエンジニアとして働く真柴蒼、28歳。
管理人の母がけがをしたため、蒼は故郷の町に戻り、ある屋敷の解体に立ち会うことになる。
旧家・久世家。町の子どもたちが「鬼灯屋敷」と呼ぶ家。
庭一面に朱色の鬼灯が生い茂るその屋敷は、蒼にとって、二度と足を踏み入れたくない場所だった。
20年前の夏。
8歳の蒼は、この屋敷で幼なじみの柚葉とかくれんぼをした。
鬼は、蒼だった。
「蒼くん、ぜったい見つけてね」
そう言って隠れた柚葉は、それきり帰ってこなかった。
取り壊しまで、あと10日。
屋敷の中では、時間がずれる。30分のつもりが3時間。
誰もいない廊下を、裸足の
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