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概要
縄文には、武器がなかった。一万年、ただの一つも。
二一五一年、青森。貨幣はとうに消え、人は働かなくても生きられる。
「聞き役」見習いの真中蓮は、自分には何の取り柄もないと思っている。
ある日、百三十五歳の老人ト部巌から、旧世紀の記録媒体を手渡された。中に入っていたのは、梶原稔という無名の信用金庫職員が、二〇二五年から死ぬまでに残した写真四万七千枚と、千九百時間の音声だった。
――そのうち一万七千枚が、同じ橋から撮った、同じ川の写真だった。
AIが窓口に座った年。四千万人が職を失った年。給付が止まり、体育館で毛布が三百二十枚しかなかった夜。金が世界から消えた日。そして、誰も自分の価値がわからなくなった「虚の二十年」。
人は、何を失い、何を渡しそこね、それでも何を手渡してきたのか。
三内丸山の栗の柱の下で、百二十八年をま
「聞き役」見習いの真中蓮は、自分には何の取り柄もないと思っている。
ある日、百三十五歳の老人ト部巌から、旧世紀の記録媒体を手渡された。中に入っていたのは、梶原稔という無名の信用金庫職員が、二〇二五年から死ぬまでに残した写真四万七千枚と、千九百時間の音声だった。
――そのうち一万七千枚が、同じ橋から撮った、同じ川の写真だった。
AIが窓口に座った年。四千万人が職を失った年。給付が止まり、体育館で毛布が三百二十枚しかなかった夜。金が世界から消えた日。そして、誰も自分の価値がわからなくなった「虚の二十年」。
人は、何を失い、何を渡しそこね、それでも何を手渡してきたのか。
三内丸山の栗の柱の下で、百二十八年をま
読み終えたあと、心がすこし優しくなる物語を書いています。
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