概要
犬は寝た。散歩も終わった。なのに、伯爵様は帰らない。
「その老犬を置いて嫁げ」
連れてきてもいいという約束は、婚礼を前に撤回された。
犬を手放して愛情を示せと迫る婚約者に、ベアーテが返したのは――結婚そのもののお断り。
十四歳の愛犬と歩く帰り道、声をかけてくれたフロレンツ伯爵は、慰めの言葉がうまくない。
けれど、彼女が鼻をかむ間は川を見ていてくれるし、犬が立ち上がるまで待ってくれる。
二人で話し始めると、真面目な横顔から思いがけない言葉がこぼれてくる。
もっと聞きたい。笑わせたい。もう少し、一緒にいたい。
散歩は終わり、犬も眠った。
それでも帰ろうとしない伯爵と、帰ってほしくなくなった令嬢の、少し不器用な恋の話。
連れてきてもいいという約束は、婚礼を前に撤回された。
犬を手放して愛情を示せと迫る婚約者に、ベアーテが返したのは――結婚そのもののお断り。
十四歳の愛犬と歩く帰り道、声をかけてくれたフロレンツ伯爵は、慰めの言葉がうまくない。
けれど、彼女が鼻をかむ間は川を見ていてくれるし、犬が立ち上がるまで待ってくれる。
二人で話し始めると、真面目な横顔から思いがけない言葉がこぼれてくる。
もっと聞きたい。笑わせたい。もう少し、一緒にいたい。
散歩は終わり、犬も眠った。
それでも帰ろうとしない伯爵と、帰ってほしくなくなった令嬢の、少し不器用な恋の話。