概要
血、繋がってないんだって。――じゃあ、結婚できるね
妹のひなたが十六歳になった夜、両親が食卓で打ち明けた。
「ひなたは、お母さんの妹の子なの。生まれてすぐ、うちの子になった」
泣くと思った。怒るか、部屋に閉じこもるか。
妹は箸を置いて三秒だけ黙り、それから俺の方を向いて言った。
「じゃあ、お兄ちゃんと結婚できるね」
翌朝、妹は自分の布団を俺の部屋に運び込み、俺を「湊」と呼び始めた。民法七百三十四条を印刷した紙を、冷蔵庫に貼って。
父は「十八までは兄妹のままだ」と条件を出し、母はなぜか止めない。学校では「白石兄妹は兄妹じゃなかった」が広まり、妹は「だから今は彼女に立候補中です」と言って回る。
俺は兄でいることだけを、四年間、守ってきた。妹が知らなかったものを、俺は知っていたから。
諦めていた分だけ全力で来る妹と、「兄」をやめられない俺の、十八歳までの二年間が始まる。
「ひなたは、お母さんの妹の子なの。生まれてすぐ、うちの子になった」
泣くと思った。怒るか、部屋に閉じこもるか。
妹は箸を置いて三秒だけ黙り、それから俺の方を向いて言った。
「じゃあ、お兄ちゃんと結婚できるね」
翌朝、妹は自分の布団を俺の部屋に運び込み、俺を「湊」と呼び始めた。民法七百三十四条を印刷した紙を、冷蔵庫に貼って。
父は「十八までは兄妹のままだ」と条件を出し、母はなぜか止めない。学校では「白石兄妹は兄妹じゃなかった」が広まり、妹は「だから今は彼女に立候補中です」と言って回る。
俺は兄でいることだけを、四年間、守ってきた。妹が知らなかったものを、俺は知っていたから。
諦めていた分だけ全力で来る妹と、「兄」をやめられない俺の、十八歳までの二年間が始まる。
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