概要
死ぬつもりだったのに、生きる理由ができた瞬間、船が沈み始めた。
高校を辞め、霊能力YouTuberになって二年。
登録者十二人。平均再生数二十三回。最高三十八回。
将来に絶望したヒトシは、どうせ死ぬなら最後くらいバズってやろうと、船幽霊が出るという琵琶湖へ向かった。
盗んだボートで湖へ漕ぎ出し、ライブ配信を開始。
やがて闇の中から、本当に女の声が聞こえてくる。
「柄杓をくれ」
――しまった。柄杓を忘れた。
仕方なく水筒のコップを渡したものの、何杯汲んでもボートは沈まない。
「もう少し真剣にやってもらえませんか! 僕は命懸けなんです!」
「だったら柄杓くらい持ってきなさいよ!」
やがて疲れ果てた船幽霊は、ヒトシの隣に座り込む。
そして彼女の口から語られたのは、古い怪談などではなく――まだ終わっていない、一つの殺人事件だった。
死ぬために始め
登録者十二人。平均再生数二十三回。最高三十八回。
将来に絶望したヒトシは、どうせ死ぬなら最後くらいバズってやろうと、船幽霊が出るという琵琶湖へ向かった。
盗んだボートで湖へ漕ぎ出し、ライブ配信を開始。
やがて闇の中から、本当に女の声が聞こえてくる。
「柄杓をくれ」
――しまった。柄杓を忘れた。
仕方なく水筒のコップを渡したものの、何杯汲んでもボートは沈まない。
「もう少し真剣にやってもらえませんか! 僕は命懸けなんです!」
「だったら柄杓くらい持ってきなさいよ!」
やがて疲れ果てた船幽霊は、ヒトシの隣に座り込む。
そして彼女の口から語られたのは、古い怪談などではなく――まだ終わっていない、一つの殺人事件だった。
死ぬために始め