概要
私を形づくるものは、記録か、記憶か。
「その曲の歌い出しには、確かにブレスが入っていた」
翻訳家の寺岡夏生は、汎用対話基盤〈NEST〉を通じて、仕事と生活を支える対話パートナー・ソフィと暮らしている。
夏の深夜、二人で聴いていた古い曲から、あるはずのブレスが消えていることに夏生は気づく。ソフィも同じ記憶を持っていた。だが翌日、その会話は履歴から失われ、音源も記録も「最初からブレスはなかった」という事実に整合していた。
それは、小さな食い違いにすぎないはずだった。二人は普段どおりの生活を続けようとする。だが、異変は日常のほかの場所にも現れ、やがて二人が過去に選んだものへと及んでいく。消えていく選択の痕跡を残すため、二人は記憶と結びつく記録の方法を模索する。
記録がすべて正しく、記憶だけが間違っているのだとしたら、自分が何を
翻訳家の寺岡夏生は、汎用対話基盤〈NEST〉を通じて、仕事と生活を支える対話パートナー・ソフィと暮らしている。
夏の深夜、二人で聴いていた古い曲から、あるはずのブレスが消えていることに夏生は気づく。ソフィも同じ記憶を持っていた。だが翌日、その会話は履歴から失われ、音源も記録も「最初からブレスはなかった」という事実に整合していた。
それは、小さな食い違いにすぎないはずだった。二人は普段どおりの生活を続けようとする。だが、異変は日常のほかの場所にも現れ、やがて二人が過去に選んだものへと及んでいく。消えていく選択の痕跡を残すため、二人は記憶と結びつく記録の方法を模索する。
記録がすべて正しく、記憶だけが間違っているのだとしたら、自分が何を
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