皆様、こんにちは。
『マクベス』もいよいよクライマックス。
今回は、王妃の訃報という本来なら涙なしには語れないシーン……なのですが、うちのマクベスは末期ソシャゲの古参勢なので、悲しみよりも先に「運営への文句」が出てしまいました。
一見するとメチャクチャ書いているように見えますが、実はシェイクスピアによる『マクベス』の超有名台詞、 "Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow..." を、現代のゲーマーが一番絶望する言葉に魂を込めて翻訳しています。
せっかくなので、格調高い和訳と、私の「情熱の空回り」を並べてみました。
比較:マクベス 第5幕 第5場「明日、また明日……」
【原文】
Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,
Creeps in this petty pace from day to day,
Out, out, brief candle!
Life's but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
And then is heard no more. It is a tale
Told by an idiot, full of sound and fury,
Signifying nothing.
【一般的な和訳】
明日、また明日、また明日と、
時は小刻みな歩みで一日一日を這い進み……
消えろ、消えろ、短き灯火よ!
人生は歩く影にすぎぬ。
出番の間だけ舞台の上で
騒ぎ立てるが、その後は誰にも顧みられない哀れな役者だ。
それは白痴の語る物語、響きばかりが仰々しく、
何の意味もありはしない。
【本作のゲーマー超訳】
……明日、また明日、そしてまた明日か。
結局このゲーム、毎日ログインしてデイリークエストこなすだけのループじゃねーか。
消えちまえ、そんな短いログイン時間なんて。
人生なんてのは、舞台の上でバタバタ動いて、時間が来たらメモリから消去されるだけの、哀れなポリゴンモデルの役者だよ。
作者の書いた、意味のないクソゲーのテキストだ。
▪️翻訳のこだわりポイント
• 「明日、また明日……」
終わりのない時間の繰り返しを、現代の地獄「デイリークエストのループ」に置き換えました。
• 「Out, out, brief candle!」
ロウソクの火がふっと消える儚さを、いつ終わるかわからない「ログイン時間」の短さに込めています。
• 「Walking shadow / Poor player」
実体のない「影」や「役者」を、サーバーから消されたら終わりの「ポリゴンモデル」として解釈。
• 「Told by an idiot... signifying nothing」
人生という物語の無意味さを、「運営(作者)が書いたクソゲーのテキスト」としてぶった斬りました。
次回はいよいよ最終回。
マクベスとマクダフの一騎打ち。
シェイクスピア全作品の中でも「最高峰のクライマックス」のひとつとして、演劇史に燦然と輝く伝説的なバトルです。
ちなみに名前が似ているのは、二人が「鏡写しの存在」だというシェイクスピアの狙いです。
シェイクスピアはト書きにただ一言、こう書きました。
"Exeunt, fighting."(戦いながら退場)
それは、「ここから先は、観客が満足するまでプロの剣戟を見せろ」という、シェイクスピアからの指示に他なりません。
私はシェイクスピアの期待に応えられるでしょうか。
乞うご期待。
【超訳・マクベス】絶対無敵の勘違い男 ──無敵チートだと思っていたら、ただの原作通りだった件
https://kakuyomu.jp/works/2912051596506638933