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【悪女】1章-あとがき


 まずは「悪女は正解を咀嚼する」の1章をお読み頂き、ありがとうございました!
 実は本作を書こうと思ったきっかけは、悪役令嬢系の作品を読んでて悪役(善人)が多くて、あーガッツリした悪役令嬢を書きたいなぁと思ったのがきっかけでした。ただ外道にはしたくないので、一般的には悪役に定義されるけど矜持は持たせない。そんな経緯で生まれたのがメイというキャラクターになります。そろそろ察していると思いますが、本作のメインヒロインにして一番の悪女はメイとなっています。

 またタイトルがいまいちピンときてない方も多いと思いますので少しだけ説明させていただきます。まず読者の多くが「結局のところ正解を咀嚼するってどういうこっちゃ」と思っていると思います。しかし実際は既に多くの色々な正解が悪女達によって既に咀嚼されています。
 例えばプロローグの「ルカはキシ団長に虐げられる被害者」という正解はルカという悪女によって「えー違うけど?」とあっさりと咀嚼され、別物になりました。そして「お姫様は可愛らしい純粋無垢なヒロイン」という世間が抱く正解ですら、メイによって咀嚼され「お姫様は人の上に立つ政治家である」と身も蓋もないものになっています。これらが”正解を咀嚼する”ということです。この物語は悪女達が今まで世間から正解とされてきたものを咀嚼していき、ルールや常識を書き換えてしまうような話でもあります。

 ちなみに咀嚼という語彙ですが、当然ながら「ぶっ壊す」や「書き換える」みたいな分かりやすいものにする予定はありました。しかし本作は「ボウショク教」という宗教が軸となっておりますので、咀嚼という食事に関連づいた語彙とさせていただきました。

 さて、それでは少し本作について語らせていただきます。
 まずプロローグはこの作品の温度や作風を知ってもらうことを意識し、なるべく単体で読んでも綺麗にまとまることを意識して書かせていただきました。それと同時に出来る限り読者様が「え?は?」とびっくりしてもらうことを意識しています。ただ私はどうしても話の展開が暗く、重いものになってしまいます。そのため性暴力や理不尽な展開をなるべく多く詰め込んで「今後はこういう展開も書くけど平気?」という確認の意味合いも込めたものとなっていました。


 そして1章は主人公であるカオリが、異端審問官になるというゴールに向かいながら世界観やキャラクターに馴染みを持ってもらうということを意識して書かせていただきました。そのため1章は全体的に仕込みが多い章であり、準備という要素が強い章となっています。悪女(メイやルイス)が動き出す前の準備を行う嵐の前の静けさ。そのことから章タイトルは「悪女達による前奏曲」を採用しています。この1章を通じて、読者様が好きになってくれるキャラクターがいたり、世界観やストーリーになってくださったらいたら作者として嬉しく思います。
 また1章はカオリが異世界で生活し、ルカと一緒に日常を過ごしながらなんとなく進んでいく。しかしメイによってなんなくでは駄目ということを自覚し、自分から変わろうとする。能動性に欠け、ニートに甘んじていたカオリが能動性を獲得して人らしくなる話。その様子が伝わったら良いなと思い書かせていただきました。

 さて、物語は前奏曲が終わりました。ここからは異端審問官になったカオリにスポットを当てた話となります。2章は異端審問官達が色々な事件に巻き込まれたり、首を突っ込んだりしていく様を書いたような章。1章で人として半歩程度の成長をしたカオリが、今度は「それじゃあ自分はどうなりたいのか?」というところにスポットを当てて話は展開していきます。また当然ながら2章「審問官の叙事曲」は既に書き終えていますので、更新を再開と共に2章も最後まで毎日更新とさせていただきます。お楽しみに!

 それでは長くなってしまいましたが、後書きはこの辺りで切り上げさせていただきます。
 最後になりますが、ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。これからもお付き合いのほどどうかお願いします。


PS
1章の捕捉をQ&A形式でピックアップしました。あくまで設定資料としてお楽しみください。


Q1この世界に魔法はないのですか?不自然なくらい出ませんし、触れられませんが!!
A魔法はあります!ただ使う理由がないので完全に廃れています。それこそ「魔法使うくらいならスキルで良いよね?」が共通認識になりつつあります。魔法の詳細については2章で軽く触れさせてもらいます。ただ魔法がストーリーにガッツリ絡むことは多分ありません。あくまで2章で触れるのは「魔法が使われない理由」に対してです。そのため2章でちょっと小難しい説明シーンが出てきますが覚える必要はありません。覚えようとしないで「あーだから使われないのね」くらいの軽いノリで流していただけると読みやすいと思います。なにせストーリーの大筋に絡むことはありませんので!

Q2ピエロはどうして骸骨の仮面をしてるのですか?
Aあれはルカからの貰い物です。昔のルカは身元を隠すために仮面をつけていました。そしてルカに憧れていたピエロが頭を下げて、彼女に譲ってもらいました。実はピエロの宝物だったりします。

Q3アリシアはどうして潜入したりするわけでもないのにメイド服なのですか?
Aアリシアは昔にメイドの暗殺者が活躍する小説にハマり、そのキャラに憧れています。その憧れが理由でメイド服を着ています。ようするにコスプレです。

Q4狂野菜って食材としてどうなの?
Aかなり癖が強いです。美味しいのですが、旨味が強すぎて主役を奪います。それこそ二郎系ラーメンに使用したとしても主役が野菜に代わってしまうほどです。また狂野菜は腐らないという性もあり、狂野菜のスタンピードは野菜戦争と呼ばれるほど大人気のイベントです。なので野菜戦争は街に甚大な被害が出るギリギリまで国の軍や異端審問官が派遣されることはありません。もっとも数が多いため、捌き切れずに最後の最後に剣聖ロシェかルカが呼ばれて一掃するのですが……
 
Q5聖女ルイスの年齢が伏せてある理由
A配慮です。彼女の年齢を知ってしまうとヒロインとして見られなくなる可能性が高いので伏せさせていただきました。ちなみに"整数3403の最大の素因数"が彼女の年齢です。知る覚悟のある方はAIにでも解かせてみてください。

Q6ヤミ国の軍がレベル低くない?
A王都勤務の軍はレベルが低いです。レベルが高い軍は地方に配属されて貴族への抑止力となったり、竜や獣が多い地域に飛ばされます。特に王都の場合はボウショク教のお膝元ということもあり、異端審問官や監査官が多く在住しているため軍の戦力は割かれにくいです。そのため王都の軍はエリートというよりは研修生という意味合いの方が強いものとなっています。しかし代わりに教会のレベルが高いです。それこそ王都在住の司祭は軍人並に戦闘が可能であり、王都に限っては治安維持は軍人以上に教会の仕事になりつつあります。

Q7メイの国内での扱いについて
Aメイはボウショク様本人のため非常に発言力が強いです。もちろん国王陛下も教皇もメイがボウショク様であることは知っていますので、メイの言いなりになっており、メイのための政治を行っています。そして国民の薄々とメイがボウショク様なのではないかと疑うものも出ています。しかし口外する理由もメリットもないので勘付いた上で黙っています。またメイの持つ治癒の能力はボウショク様から借り受けたものという設定であり、それがあるため表向きは第二王女であると同時にボウショクの巫女だったりしています。

Q8メイが第二王女の立場がでありながら好き勝手にやってるけど、お咎めとかないわけ?
Aありません。メイは第二王女である以前にボウショク様です。そのため力関係がメイ>国王陛下となるくらいにメイの方が上です。ヤミ国が宗教国家であり、メイが崇拝されてる神様である以上は誰もメイに意見することは許されません。ヤミ国の役目はメイの手足となることであり、メイに何一つ不自由なくさせないために国家を運営しています。そのためメイがなにかをしたいと言えば全力で国家がサポートします。その結果としてグループ国の侵入を行ったり、カオリの面倒を見たりしています。またメイが護衛をつけずに行動が許されてるのも周りが「さすがに神様が死ぬなんてことはないだろ」っていうのが共通認識だったりします。事実としてメイは悪魔族のため、不老不死で死ぬことはありません。

Q9ルカのメイの扱いは問題にならないわけ?
Aなりません。そもそもメイがルカに相当ぞっこんです。ルカになにかあれば自分のこと以上にキレますし、ルカの陰口なんて言おうものならばメイが許しません。そのためルカの不敬とも見られかねない言動もメイが容認してるので意見されることはありません。もちろん内心では快く思わない輩もいますが、表立って意見することは出来ません。意見すればメイの不興を買うことになるからです。

Q10メイが8話でカオリにアイアンラビットに情報収集させてたけど、あれって意味あったの?
Aメイは色々と言い訳していますが、そこまで大きな意味ないです。ただ社会勉強としてカオリにプラスになっていたのも事実です。しかしメイも決して意地悪で言ったわけではありません。実はメイはカオリが情報収集してる裏で、自然公園での狩猟許可の発行をしたり、アリシアにカオリの面倒を見てもらうように頼んでいます。あれはどちらかというと時間稼ぎの意味合いの方が強いです。メイはカオリ視点だから働いてないように見えるだけであり、実際はかなり過労です。

Q11タングタートルを狩らせたり、ミノス島に置き去りにしたりとルカって無理難題をふっかけてない?
Aはい。彼女は悪意を持ってやっています。そもそもルカ自身がカオリが異端審問官になることをあまり望んでいません。心が折れて異端審問官諦めないかなぁーと思って仕掛けていました。その背景には「カオリ君は平和に過ごしてほしい。命を賭けたり、人に恨まれるような仕事はしてほしくない」という思いがありました。しかしカオリには才能があり、本気で異端審問官になるつもりだと理解してからは心の底から応援しています。この部分は本編でも語りたかったのですが、さすがに文字数がかさばり過ぎるので泣く泣くカットしました。

Q12メイがカオリに殺人教祖したのって聖女ルイスがブチギレる案件じゃないんですか?
A実はルイスは内心でめちゃくちゃキレてます。だから17話でメイに嫌がらせしています。ただ「弟のためにキレた」というのは恥ずかしいので、それっぽい言い訳をしてるだけです。もちろん彼女の独白で語った要素がないわけではありません。だけどそれはメインではないです。また同時に「異世界で人を殺さへん方が無理」という割り切りもあります。メイが殺しを体験させないと、戦場で躊躇って死ぬような最悪な事態になる可能性もあるので表立って責めたりはしません。怒りこそあるけど、納得はしてるし必要性も分かる。だからこそ、あの程度の嫌がらせで完全に手打ちにしています。

Q13筆記試験を落ちたらカオリは異端審問官になれませんでしたか?
Aいいえ。実は筆記試験を落ちたとしてもカオリは異端審問官になれます。そもそもメイはカオリを筆記で不合格にさせるつもりでした。その上で「仕方ないですね。私が解答用紙を書き換えて合格にしますから、私に感謝してくださいね」と恩を着せる腹積もりでした。しかし思惑は外れてカオリは合格してしました。そのことに関して「あの短期間で合格点を叩き出せるのがおかしい」と教皇陛下に愚痴っていたそうです。

Q14召喚された残りの勇者はどうなりましたか? 残り3名は行方不明として扱われてますが……
A死んでいます。13話でメイが独白でさらっと語っていますが、メイによって物理的に食べられました。メイはスキルの1つで食べた相手の記憶を閲覧出来るというものがあります。そのためフウガとカオリ以外は「異世界の文化が知れる。ラッキー」のノリでメイによって殺されました。そのおかげもあり、メイはある程度は日本の事とか知っていますし、カオリに話を会わせることも出来ます。これは余談となりますが4話でデンシキキ(電子機器)と言えたのも、そのおかげです。メイはどこまでいこうが悪魔です。そのような行為を平気で行います。

Q15メイが「パワハラ」とか「ざまぁ」とか意外と現代語を多用するのが不思議です。ファンタジー世界では不自然な気がします
Aその通りだと思います。しかしメイはそういう人です。メイは基本的に相手によって語彙を変えます。そしてQ14の回答にもある通り、メイは現代日本
の知識を持っています。そのためメイはカオリが親しみやすい語彙選びをしてるため俗語を使用したり、現代日本特有の言い回しをしています。

Q16スキルの移植方法について教えて!
Aスキルを譲渡するには作中でも書かれた通りガラスの森にある”空の実”が必要となります。そして採取した空の実にスキル所持者の肉体を液状にした血と肉と骨を臓物を注ぎ込むと空の実はスキルの実に変化します。しかしパーツが減ると成功率も下がります。それこそ腐敗したら6割、骨を抜いた場合が2割。さらに血も抜き肉だけならば1割弱となってしまいます。また空の実は収穫してから半日で腐る特殊な実です。そのため市場にアレックスは生かしたままフウガをガラスの森に連れていく必要がありました。これは余談ですがルイスは収納のスキルを持っており、その中では時間経過が発生しないので空の実の持ち運びは可能です。2章の下書きでは空の実を解説する回もあったのですが、あまりに露悪的&話が動かない回になり過ぎたためカットさせていただきました。そのためこの場を借りて捕捉説明させていただきました。

Q17デュラハンが使った「セイシンシンパン」とはなんですか?
A漢字で書くと"精神侵犯"。その詳細に関しては2章で触れられるのでお楽しみに!


※これらのQ&Aは実際に質問があったわけではなく作者による自問自答に近いものです。
※もし他にも気になることがあればコメントしてください。ネタバレにならない範囲で答えたいと思います!

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