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【お詫び】更新おくれます!

「悪女は正解を咀嚼する」
普段は0時投稿としていましたが、すみません! 今日だけは深夜3時の投稿となります。

実は花粉症で死んでまして、最終校閲が終わってません。本当にすみません。お詫びといってはなんですが、「悪女は正解を咀嚼する」の没にしたエピソードを乗せておきます。

このエピソードは14話にはいる予定でした。しかし読み直すにつれて「あれ? これあると読者の感情がどこにいっていいかわからなくなるぞ」となり、シーンを切り替えずにカオリ目線だけにした方が良いと判断して急遽無しになりました。そのため時系列としては14.5話です。お楽しみください!

※残酷描写と暴力描写を大きく含むシーンなので苦手な方はブラバしてくださいね。


PS
校閲が終わりましたので深夜1時1分に投稿しました。遅れて申し訳ございませんでした。


 
[14.5話]

 これはカオリが軍に配属される数日前の話。
 
「ほんま異世界って不便やと思わへん?」

 銀髪のエルフが男に問いかける。その男は目隠しをされ、手足も椅子に拘束されていた。そして恐怖でガタガタと震え、カチカチという歯の音で返事をする。

「メールの技術があらへんから連絡は封書。それが手元に届いたのはついさっき。つまりちょっと意思を伝えるのに3日もかかるねん」
「どうか……どうか……」
「あんた程度に金貨10万も払うのは癪やねぇ。ほんま足元見てきて嫌になるで」

 そして男を拘束している銀髪のエルフ。彼女こそが絶対的な支配者の聖女ルイスである。聖女ルイスの関心は既に男にはない。

「もし料金後払いにしとらんかったら、あんたの身柄を確保するのにここから半月はかかったで。ほんま時間がかかると思わへん?」

 彼女は愚痴るように男に一方的に語りかけていく。それを男は命乞いでもするかのようにひたすらに首を縦に振って共感の意を示す。男の耳には既に聖女ルイスの言葉は届いていない。ただ本能で相槌を打っているだけだった。それほどまでに男は憔悴しきっていた。

「言い値の後払いでも身柄を確保するまでに1カ月。あんたが欲しいって注文出して、そこから1カ月もかかるんやで。ありえへんやろ。ネット通販なら遅くても1週間以内には届いとるで」

 聖女ルイスは1カ月"も"かかったと述べている。しかしそれでも充分に異常な速度なのだ。なにせ遠方にいるドールズに指示を出しているのだ。その通信手段は本来ならば異世界という舞台において存在してはいけないもの。もしも存在が公になろうものならば世界のルールが変わってしまう。それだけの技術を聖女ルイスは保持しているのだ。

「まぁうちらの連絡手段であるスマホを公開したり、飛行機や貨物列車の技術を与えたら解決なんやろうけど、手の内を晒し過ぎてアドバンテージ捨てるのも論外。せやからこの不便は必要経費として割り切るしかないんやろうな」

 そして雑談の最中に聖女ルイスは一度も笑っていない。ただ無表情で語りかけていた。

 ここは埃とカビの匂いが鼻を突くジメジメとした地下室。そこにいるのは聖女ルイスと彼女に仕える執事が1人にドールズが2人……そして拘束されたグループ国元国王。執事は主人が怪我をしないように周囲に細心の注意を払い、2人の召使いは金属製のバケツの整理をしていた。

 召使いが整理する金属製のバケツの表面には爪、肺、目、肋骨、横隔膜等々の人のパーツ名が乱雑に書かれており、そこには文字通りのパーツが投げ込まれていた。

「そろそろ休憩もおしまいやね。これまで言ったこと。もう一度言うてみ?」
「召喚した勇者は5名。そのうち雑魚スキル持ちの3名は国外に追放して……」
「爪。1枚追加な?」

 肥えた男の爪がペンチで剥がされ、生々しい悲鳴が地下に響き渡る。ここで行われているのは過激な拷問だった。そんな拷問を行う聖女の目は笑っていない。これを楽しむわけでもなければ、嫌々やるわけでもない。ただ無表情に作業としてやっていた。

 剥ぎ取られた爪は乱雑に地面に転がされ、その爪を召使いが欠伸をしながら拾って爪という文字の書かれたバケツに入れる。

「うちが聞きたいのはその前や。あんたは|桜ヶ崎香《さくらがざきかおり》を召喚したとか言わへんかったか?」
「あ、ああ! それが……」
「あんた。誰に手出したか分かっとるんか?」

 聖女は金槌を持ち、爪の無い指に目掛けて思いっきり振り下ろして、叩く。再び地下に悲鳴が響いていく。ただ怒りを暴力で発散するかのように無慈悲な拷問が繰り返し行われる。

「カオリの話をルカから聞いた時はもしかして思ったもんや」
「ひぃ……」
「そのうえ桜ヶ崎の苗字。ただでさえ男の子でカオリなんて珍しい名前やのに、それで苗字まで一致しとるならあのカオリしかおらへんやないか」
「許して……許して……」
「許すとか許さへんの話やないで」
「なんで! どうし……」
「うちな。転生者なんよ」

 聖女は静かに誰にも言っていないことをカミングアウトする。別に彼女は隠していたわけではない。ただ言う必要がなかったから言わなかっただけ。そして彼にはどう受け取られても問題ないから伝えた。それだけのこと。

「は?」
「その前世の時の名前が|桜ヶ崎美柑。まぁ従弟の関係やったけど、うちはカオリの姉代わりみたいなもんなんや」
「そんなのわかるわけ!」
「わかるわからへんの話はしとらんで。うちの可愛い弟に手を出したという事実があるだけや」

 彼女の言っていることは理不尽に等しい。しかし彼女を咎められるものは誰一人としていない。それが権力というものなのだ。この世界に生きる人々は口を揃えて言う。聖女とだけは敵対してはならないと。

「うちの家族に手を出しといて、なんのお咎めもありまへん。そんなことしたらうちは舐められるやろ」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「あんたを見逃したら示しがつかへん。うちの機嫌を損ねたら、どないなるか晒さんと調子に乗る輩がぎょうさんおるねん。だから許すも許さへんもあらへんよ」
「そうだ……金ならいくらでも……」
「金で面子は買えへんし、奴隷に落ちたあんたに資産はあらへんやろ。もうちょいマシな提案せえ?」

 再び悲鳴が響き渡る。聖女ルイスはそんなことは気にも留めない。剥がす、溶かす、引き裂く、潰すなど思いつくであろう暴力を一通り試していく。次第に王は悲鳴をあげる気力すら奪われ、物言わぬ廃人と化した。そこまで行き着く時間は僅か6時間程度。6時間足らずで人を完全に壊すほど過酷な暴力が振るわれた。拷問を終えた聖女に喜びの表情などない。むしろまだ足りないと言いたげに不満そうな表情をみせていた。

「ルイス様ぁ……このパーツはどうするんですか?」
「ジョーカーに送っといてな。彼なら上手く扱うやろ」
「了解ですぅ」

 その指示を受けるとドールズ達は軽口を叩きながら、そそくさと梱包作業を始めた。

「ねぇねぇ。こんな汚いものどう扱うんだろ?」
「うーん。やっぱり脅しじゃないかなぁ……お前達も歯向かうならこうなるぞーって圧をかけるに一票」
「そんなん今更でしょぉ……ルイス様の怖さ知らない人とかいる?」
「まぁどうでもいっかぁ。ジョーカーさんなら上手く運用してくれるだろうし」
「そうそう。あって困るもんじゃないんだよ。もし困るようなら燃やしちゃえばいいんだし」
「燃やすのはやめてほしいなぁ……私達が丁寧に仕分けした意味がなくなっちゃう」
「たしかに〜」

 ドールズ達の私語。それに聖女ルイスは怒ることもなければ便乗することもない。ただ静かに視線で仕事するならなんでもいいと告げていた。基本的に彼女は自分の部下に無関心である。

「……お嬢。今の話は本当ですか?」
「今の話?」
「転生者という話です」
「信じるかはあんたに任せるで。エメラルド」
「それなら信じましょう」

 エメラルド。彼は聖女ルイスの専属執事であり、彼女が価値を認めてる数少ない人物の一人。そして彼の戦闘力はエルフでも随一とされるが真偽は不明。なにせ表舞台に出るのは稀なのだから。

「これからどうするのですか?」
「とりあえずカオリの顔も見ときたいし、一度ヤミ国に行くで」
「わかりました」
「それとうちがヤミ国に行っとる間に仕事振ってええか?」
「もちろんでございます」
「一応勇者フウガを回収してきてくれへん?」
「わかりました」

 聖女はヤミ国に行く準備を淡々と進めていく。その来訪がエルフに致命的な被害をもたらすことを今はまだ誰も知らない。


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以上です。
ちなみに14話はこれを含めるつもりでしたので、『犬と拷問』という拷問っていうキーワードが入ってました。消そうかなと思ったのですが、メイが拷問に近いことしてるのでいいかで残っています。

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