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自作短編小説『魔法少女、売ります。』解説

最近あたらしい短編をカクヨム上に上げました。題は『魔法少女、売ります。』です。

ぶっちゃけ自分自身好きな作品ではないし、今書いてる長編の前にワンアイディアで作った作品に過ぎないので、特に思い入れはありません。

とはいえ、折角皆様の目に触れられるようになったので、何故この作品を書くに至ったのか、適当にここに書きなぐってみます。



多分、この作品のタイトルを聞いた人は、真っ先にポスト『まどマギ』ライクな作品なんだと思うんでしょうね。でも作者である私の狙いは別のところにありました。

この作品のテーマは、ずばり『資本主義批判』です。現代は何でも金で計る時代で、あらゆるところに市場経済が及んでいます。そして、金さえ稼げれば何をしてもいいと思ってる連中は、世の中に沢山いますよね。ですが本当にそれでいいのか。

この問いに対して明白な答えを提示してくれた作品は、アメリカのテレビドラマである『ブレイキング・バッド』だと思います。主人公のウォルター・ホワイトが、金欲しさに目がくらんで、高純度のクリスタルメスを精製し、麻薬王に成り上がるまでを描いた作品です。私はこの作品を夢中になって視聴しました。そして、いつしかこの作品にインスピレーションを受けた作品を自分で作りたいと思うようになりました。

でもどうやって?日本だと麻薬汚染はアメリカに比べればそれほど酷くないし、ただ舞台を日本に移して似たような作品を作っても、二番煎じになるだけでしょう。なので別の『売り物』を考える必要があった訳です。

で、色々考えた末に捻り出したアイディアが、『推し活ビジネス』だった訳です。日本では推し活が盛んで、人間(多くの場合未成年の少女)が投機対象になっています。なんでこんなビジネスが成立しているのか?何が人々を熱中させるのか?正直なところ、推しとかいないし推し活なんてした事も無い自分からしてみると、相当謎なビジネスモデルなのですが…。

個人的な推測に過ぎないのですが、あのビジネスは宗教の代替なのだと思われます。人間は崇拝する対象がないと、生きていけない生き物。ですがポストモダンの時代、人々は生きる目的も、信じるべき対象も見失っている。だからその飢餓感が『推し』に向けられているのだと思います。

資本家はその欲求を敏感に嗅ぎ取り、搾取してきます。推してる側は『救済』を求めているのにも関わらず、推せば推す程救済どころか、破滅に近づいていく。何故なら、対象を推せば、それだけ己の人的資本はガリガリと削っていくからです。

勿論趣味なんてそもそもどれもこれも非生産的なものだし、お金の使い方なんて個々人で決めるべきだと思いますが、社会全体が『推し活』とか言って、その流れを煽っている現状は如何なものなのかな。とか個人的には思ってしまいます。推してる側だけでなく、推される側の彼女達も、とても恵まれているとは言い難い環境下で働かされて、大企業に搾取されている訳ですし。

現実には「奇跡も魔法も無い」訳ですが、それでも尚人は神秘を求め、右往左往を繰り返す。生きる目的がないと生きていけないから…。

うーん。救いないですね。この世界。

では最後に、ブレイキング・バッドの他にもう一つ、この作品のインスピレーション源となった曲のリンクを貼っておきます。Public Image Ltd の (This is Not a) Love Song。「ラブソングを作れ」とレコード会社に命令されて、キレたバンドのフロントであるジョン・ライドンが、レコード会社への当てつけに作った曲です。ですが皮肉なことに、この曲がバンドの最大のヒットとなりました。

https://youtu.be/9BGi8u8BtaA?si=-IxuV2vBZjlR1c08

ちなみに作中に登場する天堂才というキャラクターのモデルはジョン・ライドンです。”反体制”の象徴的な人物であるジョンを業界最王手の企業のCEOにするのは、中々皮肉が効いていて面白いかな。と思いました。

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