そういえば『京都市民限定で求人が出ているとあるバイトについて』、連載開始から半年経ってましたね。
なんだかあっという間でした。
最近は執筆もすっかり生活の一部になり、他の仕事に意識を割く余裕も出てきました(おそらくは「2025年内刊行」のために気を張ってたところもあったんでしょうね)。
第三部以降で方針が変わった部分があるので、その説明をしたいなと思ってこの近況ノートを書いているのですが……まず夢枕獏先生の傑作ノベライズ『ゆうえんち』の話をする必要があります。
刃牙シリーズのスピンオフ小説である『ゆうえんち』、私が刃牙ファンなのと仕事でたまに公式ノベライズをやるというのもあって、楽しみ半分研究半分で連載を追っていました。
信じられないぐらい面白いんですよ。あらゆる意味で夢枕先生にしか許されない作品なので。リアルタイムで追えて本当に良かった連載です。
ただ、単行本としてまとまるまで時間がかかったのもあって、連載版は何度も読み返していました。お陰で「あらかじめ決めていたこと」「まだ決めていないこと」「書きながら決まっていったこと」のグラデーションの境目が見えた気がします。
そして「もしかしてこうやって書いたのでは?」という仮説が生まれました。
……いや、私如きが大先生の極意を理解したなんておこがましいわけですが、仮説が正しいのかどうか試してみたくなりました。
戦った相手の技を使う『ゆうえんち』の主人公の葛城無門のように、まずは構えから真似してみることにしました。それで掴めることもあるかもしれないと思ったのです。
第二部までは各エピソードの一話目を書いた時点でオチまでのプロットを用意してましたが、第三部以降は導入だけ考えてあとは流れに任せるという形で書くことが多いです(勿論、導入時点でオチも見えていて、その通りになった話もありますが)。
……ただ『妖食倶楽部』に関しては敢えてそうしたというよりは、単行本作業と書店特典の書き下ろし作業のせいで結果的にそうなってしまったというのが正確なところなんですが、書き終えて「あれ、案外いけるのか?」となったのは事実です。
学生時代に雑誌でデビューしてから17年あまり。その間、なんだかんだで物語を書き続けてきたわけで……無軌道に書かれたエピソードをまとめたり、曖昧な設定の辻褄を合わせたりする技術がいつの間にか身についていたのです(読んだ人には伝わると思いますが、これも『ゆうえんち』っぽいですね)。
それと字数です。『ゆうえんち』の連載が一話3000字強だったので、こちらも意識的に一話3000字強にしてみようかなと(オーバーランしてる回も結構ありますが)。
連載開始前は一話3000字強でやっていくプランもあったのですが、「3000字で無理に引きを作って細切れにするよりは、5000字を目安として満足感を担保した方がいいと思います」という担当氏のアドバイスもあって、第二部までは5000字前後でやってました(オチまで決まっているのなら5000字単位で切り出した方が効率的でしたし、何よりそのペースでないと2025年内刊行は無理でしたね)。
ただ、最近は3000字強でも何かしらの満足感(?)が得られるように書いてます。「楽しようとしてんじゃねえ!」という意見もごもっともですが、刻むことで軌道修正がしやすくなっているのも事実でして。
……というわけで、今は完全にライブ感で書いております。
面白いもので第三部を始めた時点では影も形もなかった着地点というやつが見えてきました(見えてきましたよね?)。
今のところ、特に肩叩きとかもされていないので、第三部が終わったら第四部に突入するんじゃないでしょうか。何をやるのか皆目見当がつきませんが、楽しみですね(他人事みたいに言うんじゃない)。
これからもお付き合いいただけると幸いです。