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ギフトを頂きました!ありがとうございます! お礼の短編小説『市乃と牛丼店』を載せておきます。

タモさんからギフトを頂きました!応援してもらえて嬉しいです!
読んで頂けて凄く嬉しく思っております!
今回はお礼小説を書きましたので、もし良かったら読んで行って下さい、


  市乃と牛丼店

 神坂市乃は牛丼が好きだ、小学生の頃に父が買ってきた牛丼弁当を食べて以来から好きだ。

 大手牛丼チェーンの吉之家、大すき家、松竹屋、そと卯、そういった所の牛丼は大体を複数回は食べている。

 けれど牛丼屋には女性1人では入りづらい雰囲気があるし、女子高生が1人で入るのも気が引けたりする店だ。

「らっしゃっせー、お好きな席にどうぞー」

 そんな市乃は牛丼を食べたくなった時はテイクアウト牛丼弁当を買っているのだが、今日は店内に人が居ない時間を見計らって来店した。

 店内で食べる牛丼と持ち帰りだと、明らかに味が違くなるのも知っている。米がツユを吸ってしまったり、少し冷めてしまうのが原因である。

 どうしても店内で出来立ての牛丼が食べたかったのだ、市乃は店内で食べた方が美味しいと思う派閥だ。

(もちろんノーマル牛丼に卵だねー、お腹減ってるし特盛にしちゃおっかなっ)

 今夜も配信があるし、そのための燃料補給だ。牛丼が食べたい気持ちを抱えたままでは良い配信なんて出来ない!、というのが市乃の信条である。

 タブレット端末で注文をして牛丼の到着を待つが、そこは流石の牛丼店、30秒ほどで牛丼特盛卵付きが到着した。

(やっぱ牛丼には卵だよねー、これが一番!)

 心の中で牛丼ポリシーを唱えつつ卵をかけて、久々に来た牛丼店での1人牛丼を堪能する。その時だった。

(えっ!? なにこの緊張感っ!? さっきまでとお店の中の雰囲気が違う!)

 いきなり店内の雰囲気がピンと張り詰める、まるで何かの試合が行われるかのような雰囲気だ。

 店内には客は市乃だけであり、後は店員が2名という状況、特に緊張感が走る要素は無い。しかし直後に1人の男性客が入ってきた、その男に市乃は見覚えがあった。

(大食い系動画投稿者の太杉フトシ! 牛丼屋になんて来るんだ!)

 入店してきたのは大食い系your-tuberの太杉フトシ、色んな物を大食いしたり早食いしたりしてる人物で、視聴者登録数も多い人気がある人だ。

 そんな太杉が足早に入り口近くの席に座るが、異変が始まっている。注文する前から店員が牛丼並盛と卵を運んで来たのだ。どうやら動画撮影とかではなく、単に客として来たようだが少し雰囲気は普通じゃない。

(えっ? なんで!? どうして!?)

 太杉は片手で卵を割りながら凄い早業でタブレットを操作して注文をするが順序が逆だ、注文する前から牛丼が届いている。

 店員は彼が店に入る前から何を注文するか分かっていた、だから即座に運んで来たのだ。

「ガツガツガツ! 会計で!」

「630」

「これで!」

 入店から退店まで僅か40秒、その様子を見て市乃は理解する。

(牛丼RTAだ! 早っっ!)

 どれだけ牛丼を早く食べることが出来るかのタイムアタック、太杉フトシがやっていたのは正にソレだった。彼は動画とか関係無く普段から挑戦してるようだ。

 入店、注文、完食、会計、退店までの時間を競うもので、ネットで少しだけ人気があったり無かったりする。競技人口は多くないが、やってる人は相当に真面目にやってるらしい。

 実は牛丼屋を使った勝負みたいなのは他にもあり、1杯の牛丼でどれだけ紅ショウガを食べられるかとか、牛丼並盛を1日にどれだけ食べられるかとか、色んな物が過去にはあった。

 今は紅ショウガバトルとかは店に迷惑が掛かるとか、ちょっと汚い感じがするとかで下火だが、RTAだけは今もチャレンジしてる人が割と居るらしい。

「ごちそうさまでしたー」

「ありがとやした~、またどぞ~」

 市乃は珍しい物が見れて面白かったと思いつつ店を後にする、でも自分はRTAはちょっとなーと思ったり。

 ちなみに太杉フトシは店の外で『くそぉ!記録更新ならずだ!』と言って悔しがってた。



「って事があったんだよねー、牛丼RTA早かったよっ、あははっ」

「太杉フトシかぁ、俺も前に夏休み企画の配信カフェで見かけたんだよな」

 後日に灰川に会った時に市乃はその話をする、なかなか面白い体験だったから記憶にしっかり残っていた。

「そういや市乃って牛丼の絶滅危惧チェーンとか少数店舗の所、あと絶滅した牛丼チェーンは行った事ある? けっこう美味しかったりするぞ」

「えっ!? そういうのって気にした事なかったかもっ!」

「銀座トランプ亭、牛丼サンバ、牛メシ三郎、他にもよ~~……」

「行ってみたいっ!渋谷にある!? 池袋!?」

「今は無い店もあるからなぁ、でも何処も美味しいぞ! やっぱ牛丼は良いよな!」

 市乃には大手牛丼チェーンばかり食べて満足しており、マイナー店などはあまり頓着が無かった。好きではあるが牛丼マニアという訳でもないのだ。

 牛丼は多くの楽しみ方もあれば多くの店があり、中にはあまり知られていない店なんかも多い。

「今度に連れてってよー! やっぱ牛丼屋って女1人だと入りにくいー!」

「おう、じゃあ今度行くかぁ! 俺は上野にある生ニンニク牛丼の店が好きなんだよっ」

「それも面白そうかもっ! でも私はノーマル牛丼が一番だと思ってるけどねー、あははっ」

 そんな話をしつつ、じゃあ折角だから今から牛丼食べに行くかなんて話をして、事務所の下の階の王中華飯店に『中華牛丼始めたヨ!』と書いてあったので入る事にしたのだった。美味しかった!


タモさん、ギフトを送ってくれてありがとうございます!
これを励みに頑張って行こうと思います!
もう完全に寒い時期でインフルエンザとかも流行っていますが、タモさんも体調悪化に注意してお過ごしください。
ギフトありがとうございます!これからも続く予定なので、自分も体調を崩さないよう頑張ります!

コメント

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