最終章を公開しました。
この章では、出来事も会話も、はっきりとした行為もほとんど現れません。
あるのは、夜が終わりきる前であり、朝が始まりきる前でもある、その「間」にだけ存在する時間の層です。
音が鳴る前、光が役割を持つ前、人が名を取り戻す前、世界が次の動作へ移行する直前の、すべてが配置され、しかしまだ起動していない状態です。
これまで描かれてきた清掃、警備、修復、編集、撮影、観測、待機、それぞれの「誰かの夜」は、この章では具体的な人物を離れ、ただ同時刻という一点で重なり合う“層”として扱われています。
終わることでも、始まることでもなく、境界でもなく、断絶でもないです。
何かが何かへと、名前を持たないまま手渡されていく感触だけが、沈黙と明度の変化として残されています。
この物語は、答えや結論を置くのではなく、まだ言葉にならない感覚が、次の時間へ移っていく瞬間をそのまま「引き渡す」ことで閉じられます。
満ちる前、鳴る前、名づけられる前、その手前に立ち続けてきた時間に、最後まで付き合ってくださり、ありがとうございました。