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空への助走。あとがき的なヤツ。

公開から一か月以上経ちました。めっちゃ今更な「あとがき」を書きます。
今回は物語自体が長いので、あとがきも長いです。ホントに。

そんな佐藤大翔でございますが、現在は卒論を本当は書かなきゃいけないし、医者からは絶対安静、激しい運動したら、お前内蔵から出血するからな? 救急車騒ぎだからな?? とおっかないドクターストップが出ている、心身ともにボロボロな状況下でございます。入院したわけじゃないから安心してほしい。ちゃんと治る病気です。
まあ、とりあえず。私はいつも「小説」を書くことに救われているってことだ。

どこかにも書いた気がするけれど、今作の「空への助走」はリベンジマッチの最終回です。
そう、2020カクヨム甲子園の、です!

もとになったのは、「見上げた空は青かった(2020)」でした。
これは、2020年のカクヨム甲子園で最終選考に残った話で、私が人生でこんなに面白い話二度と書けないわ! って本気で思っちゃうくらい、自分の代表作でした。

次の改稿は「青(2023)」です。
ここからガラッと物語に厚みが出てきました。前作に比べて、文字数は倍以上。しかも登場人物の名前が変わった大問題作。和紗は「つばさ」になったし、越智さんは「向井さん」に変わった。しかも、もっと仲良しで楽しい。これはこれで私も気に入っているお話でした。

で、今作に至ると。「空への助走(2025)」になると。
ベースは「青」で、文字数は五倍? 「見上げた空」からは一〇倍?? とかいう、もはや別作品。五年前に書いた当初、書けなかった話を全部盛り込んだ。あれから他の陸上競技の話をいろいろ書いたが、その時々で生まれたキャラクターも含めて、私は「つばさ」の成長がみたい! の一心で書き上げた今作です。

実はね、この話、今年の純文学の公募に出したのを直した話なのさ。
公募の時よりもエンタメに振って、もっと生き生きさせて頂きました。うん、なんかやっと佐藤大翔の文章になったって感じがした。
内容も、もっと丁寧につばさの心情を覗いてみた。たくさん、本当にたくさん、つばさと話してみた。ちゃんと声聞けていたらいいな。

そう考えると、佐藤大翔はこのお話を書き上げるに至って、めちゃくちゃ時間をかけて、最低でも三回は大幅な改稿作業をしたということになります。お腹を痛めて産んだわが子です。かわいいに決まっているじゃないですか。
五年間読んで、成長を見守ってくださっている読者さま、一度でもレビューや感想をくださった読者さま、みなさんが「空への助走」を育ててきたわけです。子育て支援ありがとうございます……みんながママでパパだよ……ありがとう……



内容に踏み込みますね。
読了後じゃない方は、また後で遊びにきてくださーい。



この話、と言いますか、私は「主人公になれない主人公」が描きたいのです。
別の陸上競技の話の主人公たちも、みんなつばさ同様に派手な記録はありません。それでも、だからこそ、自分にはコレしかないって懸命に走るんです。

中学生が部活を一生懸命にする理由って何だと思いますか。

大義名分があると思っているんですか。
全員がマジでプロになれるって思っているから走るんですか。
内申のために仕方なくガチっているフリをしていると、大人のみなさまお思いですか?

バッッッッカじゃねーの????

がんばる理由なんてないんだよ。好きだから。きっとそれ以外何もない。
わかってて苦しんでんの。いつか救われるんじゃないかって自分自身に期待してんの。
大人の言いなりになるほど子どもって単純じゃないし、まぶしいくらいに自己中心的。大人が馬鹿にする理論で、真っ向勝負でへし折ります。気に入らないから!!

「つばさ」を書くときは、そんな思春期で尖りまくった思想の、中学生の自分を召喚して文を書きます。
それがね、案外と隠し持っているだけで、今も心の中で「つばさ思想」はあるっぽいんですわ。未だに「大人」とか、何でもうまくいかない世界への「不満」とかためこんでいるんだわな……と感じます。
大人になった自分でも、泥だらけになって走れば、後ろ指さされますし。だからさ。はるとも大人になり切れていないってわけだ。

だから、届かない空に向かって手を伸ばしたい。光っているのは青い夢でした。
そんな話が書きたかった。



キャラクター紹介を久しぶりにやろうの回。


戸田つばさ
ポニーテールがチャームポイントの、頑張り屋さん。めちゃくちゃ負けず嫌い。優等生に見られるが、出来ないことはできないし、抜くところは抜く。慣れてくると先輩にも容赦がない。
割とミーハーな一面もあるかもしれない。
向井さん信者①

向井凛
ショートカットのかっこいい見た目に反し、中身はハチャメチャおちゃめな先輩。
なぞなぞクイズは大好きだが、勉強全般あやしい。ゴーイング・マイ・ウェイ。
なんだかんだ言ってとても面倒見の良い先輩である。

加賀一成
小学生から「かけっこクラブなつかぜ」で競技をしていた生粋の幅跳びスペシャリストな少年。つばさのよき友でもう一人のライバルだが、彼の目標はもっと高みにある。感情と行動が直結する、と私のメモに書かれている。
向井さん大好き。向井さん信者②
彼のことが知りたいのなら「大きく踏み切れ、いっせーので!」を読めばいいと思う。

上野美羽
つばさの友達。カリスマな姉を追いかけて高跳びを始める。おちゃらけているようだが、こっそりつばさを心配したりしていた。まぁ、誘ったことに後悔はないが!

柴田さくら
春ケ丘中の先輩。全中出場選手で存在が圧倒的な強者の爆美女。一成の元・チームメイト。意地悪なこと言うけど間違ったことは言っていない。だから一成はキライらしいが、強いから尊敬せざるを得ない。ちょっとヤな奴。
実はこっそり、記録だけモデルにした選手がいたりいなかったりする。



舞台設定なども紹介しちゃいましょうの回。

夏風中
モデルは私の中学の母校です。新潟県内にある、夏はとても暑く、冬はドカ雪な土地にある公立中学校です。当時は市内というか県内でも陸上の強豪校ではあった。
私の自慢になりますが、先輩は当時全国一位の記録を持っていました。そんで後輩の教科書に写真が出ていました。今思い出すとすげぇな。
練習メニューは当時のものです。実家から平成の練習メニューを引っ張り出しました。

いろいろ出てくる競技場
全部モデルあるんやで。私のホーム・新潟市陸上競技場でありましたり、でかいけど記録は伸びない(?)デンカビッグスワンスタジアムや、規模小さめな五泉市陸上競技場、高田城址公園陸上競技場などなど。ついでだけど、五十公野公園は迷って書かなかった。全部県内にございます。聖地巡礼できます。

競技等についても紹介しますの回。

走幅跳のルールは、丁寧に作中で書いたつもりですが改めて。
・助走して踏切板を踏み切って跳ぶ。
・記録は踏切板から、踏切板に一番近い着地点までの距離を計測する。そのため踏切板を超えての跳躍は(×)になり、赤旗が上がる。普通に跳べたら白旗。
・追い風参考になると公式記録としては扱ってもらえない。
・大会によって測定ラインが存在する。超えないと記録なし(〇)や(NM)。
・作中で書いていないが、六〇秒以内に跳躍する、マーカーは二個まで置けるとか、スパイクピンの長さやソールの厚さが決まっているとか、細かいルールがもっとある。

大会について
今はちょっと変わったっぽいけど、私のときは「市内大会」「地区大会」→「通信陸上」→「全中」や「JO」または「地区大会」→「県大会」→「北信越などの地方ブロック大会」→「全中」や「JO」なイメージを持っていた。
どの段階で全国大会の参加標準記録を切れるかで、参加する大会は変わりますが。まぁ、ご参考までに。今変わってるからね。あと、私は地区大会止まりだからうろ覚えで当時のことも嘘言ってるかもしれない。

お話に関係あることないことも教えますの回。

話は十六話完結です。一話から「1歩目」と振ってありますが、実は意図がありまして。
つばさの助走は十七歩です。(大体女子中学生は十七歩が多いと思います)
つまり……最終話から一歩進んだ先で、つばさはやっと跳躍ができます。そんな願いを込めてみた!

タイトル「空への助走」
候補たくさんあったのよ。「見上げた空は青かった」のままパターンや「右手を青く」「飛空」「空の果てまで」とかね。ちなみにこのタイトル案は、見上げた空のレビューで書いていただいたものから……です。

勝手にイメージソングは、
「LADYBUG」緑黄色社会、「プロミスザスター」Bish、「星降る夜に花束を」ゲスの極み乙女、「keep going 」04limited sazabys です。聴けば言わんとしていることがわかるよ。


最後に。
謝辞というか、私の先生のお話をしますね。

今年の春、私に陸上を教えてくれた恩師が亡くなりました。「記憶の手帳」でも触れました通り、中学の未経験者かつヘタレな私に、基礎からみっちり教えてくださった先生でした。
「陸上競技は楽しいものだ、それと同時にめちゃくちゃ苦しい競技だ」
一度逃げ出しても、戻りたいと思える魅力も、その時に先生は教えてくださったのだと思います。だからまだ、こうやって私は「陸上競技」に狂わされている!

先生、ありがとう!
私、まだ走るのが好きだよ。跳ぶのが大好きだよ。
中学生のころ、私がつばさのように陸上競技に出会って、本作同様に記録なしに苦しんで、でもやっぱりキライにはなれなくて。そんな経験が先生の下で出来たから、きっとこの話は生まれたんだと思います。すごくあの毎日は楽しかったんだ!



長くなりましたが、これにてあとがきを終わります。

推敲作業を手伝ってくれたお友だちも、ありがとう。
最後まで読んでくださった読者さまも、本当にありがとうございます!

1件のコメント

  • 色々感動してたのに、「プロミスザスター」が好きすぎたことを思い出したら学校いるのに泣きそうになりました。絶対歩数関係してるだろうなぁ、なんて思ってたらそんな意味が!僕、運動知識なさすぎです。走幅跳の経験者である佐藤さんだからこそ書ける作品だったと思います。改めて最高な作品をありがとうございました〜!!!
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