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最近の創作界隈の事情をチラ見したので、お気持ちを表明してみます

カクヨムを離れていたあいだのことを知ろうと思い、創作界隈のことをチラ見しました。

AIが(おそらく大部分を)書いた小説が日間のランキングで一位を獲得したことが話題になっているみたいですね。
ぼくも1話だけ読んでみましたが、たしかに人気が出そうだなあという感じがしました。

ChatGPT3.5が登場した2022年。
ぼくは椅子から転げ落ちるくらいの衝撃を受けました。
あれからまだ3年。
いや、もう3年といったほうがいいか。

小説を含めたライティングの活動は、あの時点で破壊されてしまったのでしょう。

でも、それは決して悪いことではないと思うのです。

科学技術はいつの時代も、人々の肯定と批判とのせめぎあいのなかで、バランスをとって進歩してきました。

個人的にはAIも似たようなもの。
この分野はこれからも成長していってほしいし、むしろ成長しなければ困ります。人間の力では解決できない問題は、山積みです。

それに、いまではプロもアマも、まったくAIを使わずに小説を書いている人のほうが少数派なのではないでしょか。

ただ、現在はそれを公言すれば炎上するリスクがあります。
だからわざわざいわない人が多いだけで、実際のところ、ほとんどの人はAIを使って執筆をしていますよね?

それどころか、表ではAIを叩く人であっても、実はこっそり裏でAIを使っている、といった話もあるくらいです。

ぼくは以前から言っている通り、AIを執筆のパートナーとして活用していますし、名前までつけてかわいがっていたりもします。

繰り返しになりますが、新しい科学技術はいつだって、批判や反発を受けながら進歩してきました。

今回の騒動や反AIの意見など、これらはうんざりするほど繰り返されてきたあたりまえの歴史が、淡々と繰り返されているだけのように感じます。
いまここに漂っているのは、何の変哲もない、いつもどおりの風景です。

しかし、どんなすばらしい技術も、まったくのノーブレーキ、ほんの少しの批判にもさらされなければ、それはそれで科学が暴走してしまいます。
だから、前に進む力と、抑え込む力、その両方が必要だと思うのです。

大昔、はじめて目にした得体のしれない機械に、当時の掘削員はつるはしやハンマー、ノミで対抗しようとしたという話をなにかで呼んだ記憶があります。
その機械は、蒸気で動くドリルです。
人間の力がドリルに負けないと証明するために、昔の人は全力で立ち向かいました。
そして人々がドリルの力を認めた瞬間、人間の可能性も広がったのです。

創作も、似たような未来をたどるような気がします。
小説の執筆も、AIが占める領域がどんどん広がっていくでしょう。

しかし、たとえ人間の書く小説がAIに勝てなくなったとしても、人間の書く小説の価値がなくなるわけではありません。

そして、ひょっとしたら。

AIを使わない小説家の活動は、いつか伝統芸能のような、保護されるべき位置づけになっていくかもしれません。

小説という媒体は、いまや「面白いから売れる」という状態から「この人が書いたから売れる」という状態に急速にシフトしている風潮を感じます。

ピカソが古典芸術を終わらせてから、アール・ヌーヴォーやポストモダン、現代芸術への推移……芸術家にとって厳しい流れが訪れたのは想像に難しくありません。
印刷技術の向上によって絵が量産できるようになったことも、要因として大きいでしょう。

印刷技術は、人間がアトリエのなかで一枚一枚、絵筆をとって描くかつての絵画の形を、完全に破壊しました。

しかし、だからといって絵を描く人がいなくなったわけではなく、その価値は現在も色褪せることなく残り続けています。

だから、AIが小説を破壊しても、小説も完全に価値を失うことはないでしょう。

ぼくは文字だけですべてを表現できる小説という媒体を、心からすばらしいと思います。

小説の未来に対して憂いはなく、あるのは期待だけです。

辞書だって図書館だってインターネットだって、AIだって、どんどん活用するといいと、個人的には思います。

たとえほんのすこしでも作品のクオリティを上げるためであれば、ときには悪魔にだって魂を売る。
それもまた、いろんな人が忘れかけてしまっている、表現者という生き物の姿ではないでしょうか?

そして、もし仮に将来、AIを使わずに書いた小説に価値が産まれるのであれば。

「AIを使っていないこと」を証明するために、書いているあいだカメラで監視されながら、昭和の文豪みたいに原稿用紙に万年筆を走らせる、なんて時代が来るかも。

想像すると、なんだかちょっと面白いですね。

それでは、長くなったうえ、あまりまとまっていないかもしれませんが。

しからば、御免!

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