ニューヨーク・タイムズに「AI文章の蔓延とその特徴について」という記事があったので要約してみます。
読者がアメリカ人なので、日本人にはピンとこない部分もあります(名前のこととか)
☆主要ポイント
1. AI生成文章が至る所に溢れている
ベストセラー小説、新聞記事、テイクアウトメニュー、学生のエッセイ、政治家の声明まで。これは単なる洪水ではなく、地殻変動(groundswell)である
作家の20-25%がAIを使って執筆しており、やがてすべての文章がAI文章になるかもしれない。
2. AI文章には独特の「癖」がある
たとえば、
* emダッシュ(—)の多用: 政治家の声明でも「これは安全についてではない——恐怖を煽ることについてだ」というような書き方
*「XではなくYだ」構文の頻繁な使用。
*「delve(掘り下げる)」という単語: 2022年には学術論文1万件に1回の使用だったのが、2024年には2,700%増加。
*三連符への執着: 「夫はいないかもしれない。お金はないかもしれない。しかし愛はある」のような3つ組の表現の多発。
3. AI特有の語彙と表現
* SFの主人公を「エララ・ヴォス」や「カエル」と名付けがち。
「幽霊」「囁き」「静か」「織られた」「タペストリー」の表現が多い。
* コーヒーショップのメニューが「エチオピアの雄大な高地への旅に出ましょう」になる。
4. AIは「過剰適合」する
たとえば、「面白いシンプソンズの脚本を書いて」と頼むと、ジョーク(人を笑わせる)→くすぐり(人を笑わせる)→くすぐりシーン連発、という論理で、シンプソン一家が延々とお互いをくすぐる脚本になった。
AIは「良い文章=微妙さ=静かさ」と学習したため、パーティーの描写でも「静かなハミング」、「囁く木々」などを連発する傾向にある。
5. 皮肉なことに、人々はAI文章を好んでいる
研究によると、ほとんどの人がシェイクスピア、T.S.エリオット、エミリー・ディキンソンの実際の作品よりもAI生成の詩を圧倒的に好む。そして、AI詩の方が「より美しい」「より感情的」と評価される。なぜなら「静けさ」や「エコー」のような深く感動的なことに言及する可能性が高いから。
6. 人間もAIの真似をし始めている
英国議会で突然「発言するために立ち上がります」という米国式の表現が増加(ある日26回使用)。
人間がAI言語を無意識に拾い上げ、やがて自分も「タペストリー」や「delve」と言うようになるのだ。
結論
今や企業や政治家まで、みんながAIの書いた文章のような「大げさで心のこもっていない」言葉で話すようになっている。
この記事の著者は、この状況を心配している。AIの作る同じような言葉ばかりが世界に溢れると、人間らしい創造性や本当の気持ち、そして「人間であること」そのものが失われてしまうのではないかと。
ーーー
以上ですが、いかがでしょうか。
ーーー
さて、私のほうは短編を二つアップしました。読んでくださった方々、ありがとうございます。近く三つ目の短編を投稿いたします。友達に「贈り物」を探すのが実にうまい人がいて、彼女を見て思いついた作品で「王様の贈り物係」、AIではなく私のアイデアと文章です。よろしくお願いします。