カフェにて。
『第33回電撃小説大賞×完結済み×10万字』
クリック音が高鳴る。
「よし!!競合他社分析してみますか!」
「まぁ〜今から自分の原稿見直してもアレだもんね〜」
茂手木さんが椅子を引く。
抹茶クリームフラペチーノを差し出す。
「ありがとうございます!あ、ねぇ、茂手木さんって昔……」
「下読みやってたんでしょ?」
「ふふん」
チープな森川ヴォイス———
「うん、まぁね?そっから色々あって編集者になった」
「へぇ〜ちょっとさ、一緒に見てみましょうよ」
「いいよ〜?うわぁ〜血が騒いじゃうなぁ……どれどれ?」
私は、PCをもてぎんに傾ける。
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※以下は、第33回電撃小説大賞向けの『ネタバレありのあらすじ』です。
※読者向け(ネタバレなし)『あらすじ』は最下部です!
※なお設定資料は………
天に昇る朝日を見ながら俺は誓った。
勇者エンブレムファイヤーに導かれた俺は……
…………
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「あぁ〜あるあるだねぇ……」
液晶を指差す。
「こういうの、僕らからするとノイズでしかないんだけどねぇ」
もてぎんの表情がエスプレッソ。
「まぁでも……あらすじは整ってて普通に上手い!瀬屑さんの競合になるかもよ!?」
血がチャイティーラテ!
「うおおっし!!勝負だ!!」
1話をクリック。
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大火事がエンプレムファイヤーみたいに燃えている。
屍が積み上がる丘、枝に引っかかっている人間が風で靡いている。
「はぁ……はぁ……」
俺はとにかく全力疾走。走った。何も考えずに振り向きもしない。
時折、砂利が跳ねて靴が盛大に汚れ散らかる。俺は体力には自信がある。
なんたって5歳の頃から剣術に励んでいるからだ。
でも……煙を吸ってしまったせいか、呼吸が乱れて意識を失った。
◆ ◆ ◆ ◆
「リ、リキヤ?」
意識が遠く、身体が尋常じゃなく鉛のように重いことに即、気がついた俺は冴えてる。
脳だけ覚醒ってわけだ。まるで雲の上にいる気分だ。
悪いが流石にまだ開眼できるわけない。
でも、リリノアの声だ……!
んだよ、その心配そうな目つきは、その濡れた瞳は……。
でも、そんなリリノアがすごく愛おしくもあるんだ、俺は。
しょうがない、目を開けるか。俺は開眼する。
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「こ、これは…………」
思考がアイス。
視線を左に。
茂手木の顔面クラッシュティーラテ!
「これは……残念だけど……通すの難しい…………」
「で、ですよね!?……物理的な整合性がない!全体的に冗長だし」
「しかも大火事なのに主人公、冷静すぎぃ!!」
「瀬屑さん、それもそうだけど、1番の問題は……」
「視点ブレ!!」
「視点ブレだ!!」
ピーチトランクイリティなレゾナンス!
「POVの作法が全くなっていないぞ、この作者……!!」
「14万字この調子だと……編集に相当時間がかかる……」
「賞レースは、小説教室ではないからなぁ……」
スタバのBGM
《4分33秒》
———ジョン・ケージ
「あらすじの完成度が高い分、冒頭への期待度がどうしても高まる……それでこれだと……きついねぇ」
「あぁ、確かに……」
「僕が下読みやってた頃って、AIがまだなかったから……こんな落差は無かったんだけど……」
口唇に紙ストローが、しつこく絡む。
抹茶ラテが、
苦い。