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第二十五話「カレイドフェアリー」に添えるコメント 近日投稿

【案内人・葛城二華より】
 第25話をお届けいたします。
 誕生日特別編から戻り、本編の再開でございます。六月、衣替え初日のお話です。
 タイトルの「カレイドフェアリー」は、聖カレイド学園の女子制服の通称でございます。学園の生徒であれば、誰もが知っている言葉です。一般的な呼称で、特別な意味は——本来、ありません。
 けれど、誰の口から出たかによって、言葉の重さは変わります。
 今回の主役は美空さんです。朝、六時五十分。他の姉妹がまだ支度をしている時刻に、生徒会の仕事のために最初に家を出る方。その朝の玄関で、何が起きたのかは本文をお読みください。
 ただ、一つだけ申し上げます。朝の一言は、玄関を出た後も、消えませんでした。生徒会室に入っても。教室に移っても。昼の放送が流れても。——そして、夕方、家に帰り着いたとき、その一言は美空さんの想像を超えた形で待っていました。
 本日は、この情報がどのように伝わったかを観測していた方をお呼びしています。アイです。

【真白・P・アイより】
 ご紹介にあずかりました。真白・P・アイです。
 第25話について、情報の流れを整理いたします。
 六時五十分、朝霧家の玄関で、音声データが一件発生しました。発信者はじゅん様。受信者は一名。内容は、制服に関する肯定的な所感です。
 この時点では、データの受信者は一名でした。
 七時四十分、学園の生徒会室。受信者の挙動に変化が生じました。具体的には、耳の表面温度の上昇です。これを同室の筆頭書記が検知し、変数を一つに特定しました。推理に要した時間は、私の推定で十秒以内です。
 十時半。情報が放送委員に渡りました。経路は一つ。渡し方は、洗練されていました。
 正午。校内放送。受信者が一名から全校に拡大しました。学園内の三つの部屋と一つの体育館で、それぞれ異なる身体反応が同時に発生しています。扇子が閉じ、バトンが落ち、目が開き、微笑みの温度が変わりました。
 ここで、もう一つの伝播経路が発生しています。放送の直後、放送委員から学園外の一名に個人メッセージが送信されました。
 ——ここまでが、伝播の前半です。
 後半は、夕方に起こりました。受信者が帰宅すると、四着の制服が着替えられずに残っていました。長女は制服を持ちません。けれど、服の組み合わせが通常と異なっていました。個人メッセージが、衣服の選択に反映されたと見るのが妥当です。
 朝の一件の音声データが、十二時間で、四着の制服と一着の私服に変換された。これが第25話の情報構造です。
 なお、この構造の中で最も興味深い点は、じゅん様が帰宅された際の対応速度です。六名の状況を即座に読み取り、全員に個別の言葉を渡しておられます。入力に対する出力の精度が、通常の範囲を超えています。——これ以上の分析は、じゅん様のお人柄に踏み込みますので、控えます。

【案内人・葛城二華より】
 アイ、ありがとうございます。
 「四着の制服と一着の私服に変換された」——分析官らしい表現ですが、実態をきわめて正確に捉えていると思います。
 アイが整理してくれた情報構造に、一つだけ加えさせてください。
 アイの分析は、夕方で止まっています。けれど、この物語には夜がございます。
 姉妹が散り、笑い声が遠くなった時間帯に、もう一つの場面が残されています。朝、玄関で受け取った言葉と、夜、ダイニングで受け取る言葉。同じ方からの、同じ制服についての言葉です。けれど、朝のそれが「見た」のだとすれば、夜のそれは「見ていた」でした。その差が、美空さんにとって何を意味したのかは、本文の最後に。
 衣替え初日の、ある一日を、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
※本作のイラストはAIを用いて制作していますが、キャラクター・服装の設定および最終選定は作者によるものです。

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