「田中さん、取材させてほしいことがあるんですよ」
「……なんだ? 今忙しいんだが?」
「東雲ちゃんとどんなセックスしてるか教えてほしいんです」
「馬鹿じゃねぇの?!」
「いえいえ、これは立派な取材です。処女の自分にはわからないことなので」
こいつの頭はどうなってんだよ……。
なんでそんな普通な顔してそんなこと聞けるんだよ?
頭おかしいのか? まあおかしいのは今更か。そうだったわ。
「てかなんで今更そんなこと聞きたいんだよ? エロ漫画がアニメ化したくらいのお前なら今更そんなことを取材してもそんなに意味ないだろ?」
「いえ、自分はひとつ、明確な壁にぶち当たっているのです」
「なんだ? スランプか?」
後藤にスランプなんてあるのかはわからないが、後藤も生物学上は人間なので、そういうこともあるのかもしれない。
「自分、今までいちゃラブものって描いたことなくて、てか描けないんですよ」
「……べつにお前にそれは必要なくないか? マン筋太郎の作品はだいたい男性優位なものが多いだろ。女の子が一方的にヤラれてるのしか見たことないぞお前の作品」
「それは自分の心のちんぽがそうさせているだけです」
「……そうか」
こいつ、真顔で言いやがったぞ。
そろそろ怖いんだが……。
「ですが自分も最近はこう思うようになったんです。愛されたいって」
「人類の永遠のテーマだな。頑張れ」
「雑に話を終わらせようとしないでくださいよ。こんな話できるのは田中さんしか自分にはいないんですから」
「俺だって嫌々だからな? 言っとくが」
「そ、そうなんですかっ?!」
「…………」
もうこいつ嫌だ。疲れる。
当たり前にツッコミしてもらえると思うなよ?
ツッコミって体力いるんだぞ? わかってんのか?!
「自分はてっきり、都合のいい女枠でキープされてるんだと思ってましたよ?」
「おい、俺をクズ男にするんじゃない。ろくでもないやつじゃねぇか」
「東雲ちゃんは優しく抱いて、自分には髪の毛引っ張りながら一方的な行為をしてくるタイプだとてっきり〜」
「よしわかった。後藤、お前は今すぐ俺の家から出ていけ。いよいよ許さん」
「ゆ、許さない?! ってことはお仕置きされるんですか?! 一体どんなえっちな目に遭わされるんですか自分?!」
「ひとりぼっちの刑」
「……あ、あの、ごめんなさい。すみませんでした」
後藤でも孤独には耐え兼ねるらしい。
孤独は最強の毒らしい。
「後藤」
「なんですか……?」
「早く恋人作れ」
「それが出来たら苦労しませんよぉぉぉぉ!!」
俺の部屋で、悲しい女の断末魔が響いた。