三題噺、もう十作目です。今回のお題は「信」「転」「披露」でした。
「披露」から披露宴、「転」から自転車、と素直に決まって、残った「信」を眺めているうちに、信号になりました。三つ並べると、披露宴会場へ自転車で向かう誰かが、壊れた信号に止められる話になります。あとは、その誰かをアンドロイドにするだけでした。彼女は、壊れた信号を無視できません。規則に書かれていない事態の前では、止まるしかない性分です。
自転車と信号で、どんなネタになるか。考えた結果が、道路交通法でした。自転車は、降りて押せば歩行者になります。立場によって、身分が変わる――文字通りです。いわば、変身です。人間には当たり前すぎて誰も気に留めない一行が、彼女にとっては、たぶん特別な一行になります。
タイトルは、作中の喫茶店のマスターの台詞そのままです。
読んでくださった方、ありがとうございます。
連載中の『新入社品』は、いよいよ九月一日に完結します。こちらも、お時間のあるときにでも覗いてやってください。