本尾さんの所のククルちゃんが今ピンチなんだけど、
そこを助けに来てくれるのがハヤテさんなんですよ……。
これ……。
完全に私が大好きな【歪み理論】ですわ……。
【歪み理論】の完璧な使い方ですわ……!!
普通の人は阿須那君を出すじゃろ!?
阿須那に助けさせようと考えるだろ!?
でもそれって阿須那とククルちゃんだけの嬉しい話になっちゃいますよね!!
違うんですよ!! 勿論そういうパターンも使う時はありますが、いつもそれでは「どうせピンチになっても主人公が助けるんだろ」の気持ちになって来ます!!
【歪み理論】はそういう「俺とお前」だけの関係に凝固する世界観をほぐし、阿須那君にとってククルちゃんがどんなに支えになっているか、そしてククルちゃんの地上における唯一の居場所が阿須那君のような感じなんだろうと、二人の関係性を知っているハヤテさんが!!
第三者のハヤテさんが助けることで!!
世界観が横に広がるのですよ!!
【歪み理論】の最もたるのは主人公とヒロインの関係の凝固をほぐすものです。
主人公がヒロインのピンチを助ける!
ヒロインが主人公のピンチを助ける!
勿論素敵な描写です!
ですがあまりにこればかっりだと読み手もさすがにリア充爆発しろ病に掛かり「勝手にこの二人やってろよ」となって来ます!!
【歪み理論】は見事にこの不治の病を治療してくれる素晴らしい演出の一つなのです!
ククルちゃんの最大のピンチを阿須那君じゃなくてハヤテさんが助けてくれる!!
この関係性の色気分かりますか!!!
私的に最高なんすよ!!!!!✨
王道ではここは阿須那君が助けに来ると思いますが、
ハヤテさんが来ることで読み手は「意外な救援が来た!!」って驚くわけです。
しかも王道外しを行っていることから「この人が助けてくれると思わなかった!」という、思いがけず助けに来てくれた人に対しての好感度も上がるという、ダブルアドバンテージが掛かるのです!!
「意外な組み合わせ」を見れるレア度と、
思いがけない人が助けてくれるカッコよさですよ!!
見ておいて見ておいて!! 戦記もの扱う方たち全員見ておいて!!
恐らく戦記物でこの【歪み理論】を上手く使いこなせない人はダメです!!
戦記物は多くの登場人物を、上手い具合に操りながら分かりやすく、しかも魅力的にそれぞれのキャラを際立たせなければいけません。
それなのにキャラの関係性と魅力を引き出す有効牙突の一つ、【歪み理論】を扱えないなど、ありえません!!
有り得ませんけど、結構いるのです!! 使えてない人!!
いいですか【歪み理論】の真髄は「一つずらす」こと。将棋の盤上で言えば、一マスのニュアンスで正規の関係性からずれる人同士が助け合ったり出会ったりすることを指します!!
戦記物で多いのが、「主人公に全て救わせてしまう」という王道パターンに束縛され過ぎるもの。
もう一つがようやく【歪み理論】か!? と思わせといて、この「一マスずらす」感覚を上手く捉えきれておらず、全然遠い関係性の奴が助けちゃって「お前誰だよ!!💢」の領域にまで行ってしまうもの。
これはいけませんいけません!! 読者にとって思い入れの無い人が助けても「王道外し」が不快感に繋がってしまいます!!
本尾さんの今回の展開を例に挙げると、
「阿須那とククルの関係性、互いをどんなに大切に思っているかを理解している人」
しか、【歪み理論】は発生させられないのです!!
そう!!
【歪み理論】は発生条件がちゃんとあるのです!!
近親者です!! 近しい人!! 王道ペアの王道たる所以を見てきた人関わってきた人、つまり「お前があいつにとってどんなに大事かは分かる」などという立場の方です!! この人じゃないと【歪み理論】は発生出来ません!
将棋の盤上で言うと王道外せばいいんだろう!! とかいって角や飛車が遠くから飛んできてその人を助けても「無関係の人じゃん💢」にしかならず人間関係の色気が全く出ません!!
勿論全く無関係の人にヒロインが救われて、そこから別の展開が発生するなどということはあります! それも魅力的なストーリー展開ですが、それは【歪み理論】ではないのですよ。
【歪み理論】の真髄は「ちょっとだけ関係性を崩す」部分にあります。
前も言いましたが、
兄弟がいて、どっちにも彼女がいるとします。
普通は兄と兄彼女
弟と弟彼女が王道ペアですが、
【歪み理論】というのは「兄が弟彼女と思いがけない所で会い、車で送ってあげることになった」とか、
「捜査官の兄が撃たれて入院した時に、弟が初めて兄彼女と会って、とても兄のことを心配している姿を見て、いい彼女がいるんだなあと弟が初めてそのことを知る」とか、
そういう「いつもとほんの少しだけ違う二人がペアになること」を指します。
そうすることで兄からすると「へ~弟彼女ってこんないい子なんだなあ」とか今までなかった印象などが生まれ、そこから今度弟に会った時「いい彼女だな」とか今までなかった会話が、【歪み理論】を経て派生した新たなるステージの、新たなる境地が開拓されるわけです!
分かりやすく三国志で説明しましょう!!
孫策と周瑜は王道ですが、
【歪み理論】では孫堅と周瑜が孫策のことを話す、というようなことを指します!
曹操と夏侯惇は王道ですが、
【歪み理論】では郭嘉と夏侯惇が曹操のことを話すわけです。
孫策と周瑜は王道ですが、
【歪み理論】では孫策と魯粛が周瑜のことを話すのです。
曹操と荀彧は王道ですが、
【歪み理論】では曹操と荀攸が荀彧のことを話すわけです。
【歪み理論】では発生源となる第三の者がキーポイントとなる二人の関係性や人となりを、正確に知っていることが条件になります。
それを踏まえたうえで、「あいつはさ……」などといつも会って話すわけではない一マスずれた二人が「あいつ」について話し、共感を触れ合わせることにより、この話ている二人のキャラ性、考え方や感じ方も際立つし、話されてる「あいつ」も人を惹き付ける人なのだという印象を持つことが出来、
王道だけで語る世界よりも、
より多層的に人間関係を見せることが出来ます。
私はドラマでも小説でも漫画でもこの【歪み理論】を大変愛好していて、この手法を見事に操る書き手はやはりファンになりますね。
上手いんですよ! キャラの魅せ方が。
ただ【歪み理論】は凝り固まった関係性を刷新するような効果を生むことが真骨頂ですので、
①まずしっかりと王道だ!! と読み手が認識する程、キャラの人間関係をある程度確立させなければダメ。じゃないと「いつもと違う!✨」という感動が発生しない。
②同時に主人公以外のキャラもきちんと読み手にある程度の立場を認識させること。
だから序盤とかには決して使えない大技。短編にも無理。しっかりと人間関係を確立させながら書いた領域にある長編小説ならではの中盤以降に使える大技。
この①②をきちんとやってないと【歪み理論】書いたつもりでも全然気づかれないことがあります。それではダメです!
とくに「いつもと違う!!✨」っていう読み手のレア感をくすぐる感情は大切で、これを感じさせる領域まで書いた者しか使えない必殺技です。
新キャラすぐにどんどん出して、一人一人の認識度が低く、キャラの印象広く薄く書きがちな人には絶対に使えません!! そもそもその場合「この人にとってこの人は特別」などという人間関係が認識出来ないからです。
そうです! 長編小説はキャラをたくさん出すのが目的ではなく「数多の人間関係を描く」ことに魅力があります。
キャラだけ出して人間関係をしっかり描けない人は、それは自分の力量に対して分不相応の人数をキャラとして出してしまっている証拠です。
絞って下さい絞って下さい!! 絞ってもっと少ない人数にして、人数を増やすのではなく一人一人の人間性をもっと掘り下げるのです!!
人間性を丁寧に描き、
作品における様々な人間関係を確立させた作者だけが、
自分の描いたそれらを使ってこの素敵な【歪み理論】を使って更に作品を魅力的に描けるのです!!
誰しも使える技じゃないので、だからこそ長編小説でこの【歪み理論】炸裂させてる人見かけるとひゃほーーーーーーーーーーーーい!!!!✨✨って無茶苦茶嬉しくてたまらなくなりますね!!
少ないです!!!
すごく少ないですアマチュアは!!
プロはこの技かなり使って来るので、プロ御用達の必殺技だと思って下さい!
この【歪み理論】をここぞ! という時に見事に使って来る方はもうキャラの魅せ方やストーリーの展開の仕方を掴んでますね!
何でも出来ます!!! これが出来る人は!!
私的に作者の力量を知るポイントの一つ✨
何でもかんでも主人公とヒロインみたいな、王道の二人だけが向き合う状態だと本当に世界観が狭くなり凝固するのです。助けに来たぞ!! ありがとう!!なんていつもそうでは「二人でずっとやってろよ……」という気持ちになります。
そこが「大雪で飛行機がダメになったから帰れない。今日彼女が俺の家に来ることになってたんだ。予定が狂っちゃったからホテルまで兄貴が送ってくれないか。彼女はこの街のことあまりまだ知らないから」
みたいになって兄貴が「貸しだからな」なんて言いながら弟彼女を空港まで迎えに行ってあげるわけですよ。二人はまだ会ったこともなく、誰かも分からず「あの~~〇〇さん?」と弟から聞いた特徴で辛くも彼女を見つけて、ホテルまで送って差し上げるわけですよ……その車中で兄も知らない弟の様子とか、弟彼女も知らなかった弟の一面とかを話して「彼そんなことしていたんですか?」なんて弟彼女と兄が弟の話で笑い合うわけですよ!!
ラウンジでなんなら少しだけごはんとかも一緒に食べてあげて、「今日は申し訳なかった。後日あいつには君に謝っておくように言っておくから」なんて言って「とんでもないです。本当に送って下さってありがとうございます」とかいい感じでお別れし、兄貴は「送っておいたよ。いい子だな」みたいなことを言って、弟彼女は「お兄さんにお礼言っておいてね」などと言って、ここに今まで無かった新たな人間関係が突如として現われるわけです!
しかしそれは「無かった」わけではなく、「見えてなかった人間関係」と言うべきかもしれません。弟と弟彼女が真剣にお付き合いし、結婚も念頭に入れるような関係性になった場合、兄貴とは家族になるわけですし。
不自然な人間関係が突然発生するような不気味なものではなく、
【歪み理論】は固く結ばれた人間関係に付随する、それまで見えてなかっただけの人間関係を浮かび上がらせる効果がある、と言ってもいいでしょう。
その風景を見ることによって読み手はある方向からしか見えなかった写真を、パノラマ写真で見るような自然さで、不意に広く明るく世界を捉えられ、「強固な絆を別の方向からも確認出来る」ような印象を持つのかもしれません。
【歪み理論】をドラマで見つけると必ず「可愛いな~🌸」なんて私は口走っているので、やはり意外な二人が出会い、今まで見なかった会話などをしている雰囲気がとても微笑ましかったりしますし、
弟のピンチを兄彼女が救ってくれたりしたら カッコよさ倍増じゃないですか……!
誰でもすぐに使える大技ではありません。きちんとしっかり長編小説の人間関係を描けている作者しか使えない必殺技なので、これを見つけた場合は実力者の証です。
素敵な展開間違いありませんのでぜひ堪能してください🥰