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『心霊ユーチューバー』 ―旧トンネルの崩落事故で残った声―

第1章 奥から「カン」と鳴った
「カン――」
金属を叩く音がした。
亮は足を止めた。
誰もいないはずの旧トンネル。その奥から、確かに聞こえた。
「……今の、聞いた?」
隣の翼が小さくうなずく。
「聞いた」
二人は心霊動画を撮影するユーチューバーだった。
今回の目的地は、山道の先にある旧トンネル。数十年前、工事中に崩落事故が起き、作業員が犠牲になった場所だ。
入口には「立入禁止」の看板が立っている。
「本当に入っていいのか?」
亮が尋ねると、翼はスマホを見せた。
「役所には許可を取ってある。徒歩での内部調査は認められてるよ。ただし、車両の通行は禁止だ」
天井が不安定で、車の振動によって崩落する危険があるという。
「まあ、歩くだけなら大丈夫だろ」
亮はカメラを回した。
「どうも、ABチャンネルです。今日は、過去に崩落事故が起きた旧トンネルを調査します」
入口から、冷たい風が吹きつけた。
外は蒸し暑い。だが、トンネルから流れてくる空気は、肌に触れた瞬間、思わず身をすくめるほど冷たかった。
「……中、ずいぶん寒いな」
「地下だからじゃない?」
翼はそう答え、ライトを点けた。
二人は慎重に歩き始めた。
湿った土と古いコンクリートの臭いが鼻につく。
ポタッ。
頭上から水滴が落ちた。
足元には小石や砂が散らばっている。天井には細かな亀裂が走り、ところどころコンクリートが剥がれていた。

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