新作短編『窓口業務』を公開しました。
今回は異世界ファンタジーです。
冒険者ギルドの受付嬢が語り手です。
窓口に来た四人の子供たちの冒険者登録を処理する、ただそれだけのお話……では全然ありませんでした。
いま note のほうで『小説の構造設計──直感を技術に変える18のパラメータ』という創作技術論を連載しています。物語論の知見を整理して「小説の構造は意識的に設計できる」と主張している連載なのですが、書き進めるうちに気づいてしまったんですね。
「これ、わたしが自分で書いて見せないと説得力ないのでは?」と。
偉そうに十八個もパラメータを並べておいて、じゃあお前はそれを使って何が書けるんだ、という話です。理論と実作は別の能力だということは連載の中でも書いていますが、それでもやっぱり、書かないで済ませるわけにはいかないなと思いました。
なので書きました。
方針は二つ。
ひとつは、パラメータを意識的に、わかりやすいぐらい極端に設定すること。語り手の信頼性、読者への情報の渡し方、語りの距離、反復するフレーズの意味の変化。こういったものを、全部設計した上で書く。
もうひとつは、仮説の検証です。構造をしっかり設計すると、ジャンルを問わず自然と「文学的な手触り」が生まれるのではないか。異世界ファンタジーの意匠で、受付嬢という語り手で、それでも構造の力で読後感が変わるのではないか。これは書いてみないとわからなかったので、書いてみました。
結果がどうだったかは、読んでいただいた方に判定を委ねます。
いくつかだけ。
・ネタバレなしで言えることがほとんどない作品です
・冒頭はたぶん穏やかです
・読後はたぶん穏やかではないです
・受付嬢はとても有能です
前作『身分違いの恋』とは傾向が全然違いますが、構造を考えるのが好きなところだけは共通しています。あちらが変奏曲なら、こちらは──なんだろう。読んだ方がいちばんいい比喩を持っていると思います。
note 連載のほうに興味を持ってくださった方は、そちらもぜひ。理論の側から読むと、この短編の設計図が少し透けて見えるかもしれません。URL は貼っちゃいけないのかな?と思うのでごめんなさい。
→【作品URL】https://kakuyomu.jp/works/2912051597915959741