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新作と方言の話

新作ホラー『やきにく食堂にて』を公開しました。
ずっと書きたかった会話劇をやっと書き上げることができました。
脚本と違うので喋りのテンポ感はあまり気にしませんでしたが、だれが喋っているのかを分かるように特徴づけるのが難しかったです。
和気あいあいとしつつプチ教訓もある納得の会話劇に仕上がり、とても嬉しく思います(⁠ ⁠◜⁠◝⁠ ⁠)⁠


さて、私はふだんTVドラマはあんまり観ないのですが、先日初回放送された新ドラマ「ヤンドク」をみました。
理由はただひとつ。主演のハシカンが岐阜弁を喋るときいたからです!
何を隠そう私は岐阜県民。地元の方言をハシカンが、しかもヤンキー口調でと言われたらそりゃ気になりますよね。ということで視聴しました。

……いや、分かってましたよ。
方言なんて日常で耳から覚えるものだと思うので、常日頃東京の洗練された標準言語を聴き話している俳優さんからしたら、ネイティブ並みに喋るのはとっても難しいと思います。

それにしても怒号の一つ覚えみたいな「たあけ!」連発はひどい。いい意味の言葉じゃないもの。

そもそも「たあけ」を劇中で「おろか者」と訳していましたが違います。岐阜弁の「たあけ」は「たわけ者」のことで、「あほ」や「ばか者」をより嘲った場合に使います。年配の人がよっぽど怒ったときにしか使わないので、ハシカン世代のギャルはヤンキーだとしても言わない。

そしてもうひとつ、「たあけ」より気になったのが、「なんで?」のイントネーション。
それは病院の同僚(?)に質問されたハシカンが「なんで?」ときき返すシーンでした。
ハシカン「な↓ん↓で↑?」と言いましたが、実際の岐阜弁は「な→ん→で↑?」です。岐阜弁はしばしば語尾が上がりがちなのです。

方言以外にも、10分に1回は「岐阜」と言わなきゃならないノルマでもあるんかってくらい不自然にセリフに挿入されていたので気になって調べてみたら、岐阜の病院で医師をされている実在人物がモデルとのことで、一応納得はしました。

が、このドラマの主人公が「岐阜出身」であることに、“事実に基づく設定”以外のなんの意味も感じませんでした。
方言に対するアプローチの拙さによって岐阜という要素がとってつけたように感じました。スパイス的に使われ消費される、しかも「たあけ」のようなあまり美しくない言葉でもって印象づけられてしまうのは、けっこうショック。

これから岐阜要素もバンバン出てきて面白くなるのかもしれないけど、私は初回リタイアです。


で、これって小説にも言えることだなって。
目先の特徴やインパクトを重視することも大切だけど、ガワだけ繕った文章は読者にはぜったい分かるし、いちど「コレジャナイ」と思ったら再び読み進めてもらうのって難しいと思います。
どんな些細な設定や要素でも、たとえ地味で表立っていなくても、細微にこだわってこそ説得力が生まれる。そして、説得力のある作品はぜったいに面白いはず。

「ヤンドク」はそんな教訓を私に授けてくれました。ありがとうヤンドク、ありがとうハシカン。

より説得力のある物語をつくれるよう、そしてこれからも自分の納得いく作品が書けるよう、精進します!
よろしければまた読みにいらしてくださいね(⁠* ⁠◜⁠◝⁠ *⁠)⁠♡

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