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◯僕の人生の転機

 僕の人生の転機は、小学2年生の頃に右腕を骨折した時に違いない。

 友達の家の裏にちょっとした坂というか、土手っぽいのがあって。

 そこでみんなして自転車で下ったら、僕は派手にこけて右肘を骨折した。

 当時は痛いなぁ、悲しいなぁ、ギブスずっとしてかゆいし、夜は痛くて眠れないしで、色々と辛かったけど、周りに優しくしてもらって楽しい思いもそれなりにしたし、治ってからはまあ良いかと気にならなくなっていた。

 けど、大人になってから、色々と悩むことが多くなった。

 実は小6でその右腕、正確には右肘の手術をしたのだ。

 僕が骨折したのは右肘で、これが厄介な箇所だった。

 ほら、肘で色々な骨とか腱とかで繋がっている場所だからさ。

 骨折して治った後も、肘が曲がらないって人が結構いて。

 僕も右手が肩につくくらいまで曲げることが出来なくなった。

 だから、それを少しでも曲がるようにするための手術を受けた。

 手術自体は成功したのだけど……その時、ポケモンのサファイアを買ってもらった時期で、入院中もそれにハマっていて。

退院後も、リハビリのお兄さんに手伝ってもらって、一時は前よりも結構曲がるようになったのだけど……それが終わると、自主的にリハビリをすることはなく、結局は手術前と変わらない感じで終わってしまった。

 そして、父親に『金返せ』と言われてすごく傷付いたのを覚えている。

 でも、仕方がないよ。だって、小6でそんな自分を管理とか出来ないし、もっと親とか周りの大人がちゃんとしろっての。

 だから、僕はただ無駄に右ひじに傷跡をつけただけだった。

 まあ、手術と入院生活の経験値は得たから、今となっては良い思い出だけど。

 でも、その右肘を骨折し、手術でも成果を得られなかったことは、後の僕の人生に色々と影響を与えている。

 野球部だったんだけど、投げ方がおかしいとよくバカにされた。

 右手首に負担がかかり、ケガをしやすくなってしまった。

 その結果、腕立ても出来なくなり、また完璧主義な所があるので、その右肘がコンプレックスとなり、体を鍛えることが億劫になってしまった。

 などなど、色々な弊害が出ている。

 それに、小2で右肘を骨折してから、体力が明らかに落ちた。

 1年生の時の持久走大会は2位で、みんなからすげえと言われていたのに。

 2年生の時は、一気に24位にまで落ちた。

 だから、今でも思う。あの時、右肘を骨折しなかったら、僕の人生はきっと全く違うものになったんじゃないかと。

 これがもしゲームの世界だったら、そのルートも味わってみたかったなぁ、と。

 まあ、ここまでは悲しい点というか、デメリットばかり述べたけど。

 ここからは、むしろそれで良かったなと思う点を挙げさせてもらう。

 まず、右肘を骨折してから、その利き腕だけでなく、左腕をよく使うようになった。

 箸を持つ手は右だけど、飲み物を飲む時にコップを持つのは左手だ。

 ドライヤーの時に、髪をワシャワシャするのも左手だし。

 ボウリングでも女子とやる時はハンデで左で投げて、それでもスコア160以上だった。

 それから、右手が恋人なんて言うけど、僕の場合は左手……いや、何でもないっす。

 そうして、普通の右利きの人よりも左手を使う頻度が増えたことで、右脳と左脳がバランスよく使われて、鍛えられたと思う。

 人間を初め、脊椎動物はみんな逆転の現象が起きていて。右手を使う時は左脳が、左手を使う時は右脳が作用している訳であって。

 ほら、右脳は感覚、左脳は論理をつかさどるって言うじゃないですか?

 だから、左脳がダメージを受けた人は右脳が発達して、素晴らしい芸術家になった、みたいなエピソードとか聞いたことありませんか?

 でも実際には、そのどちらかに偏るのって、あまり良くないみたいで。

 右脳も左脳もバランス良く使う、鍛えることで、脳の力が上がるみたいです。

 何事もバランスが大事ってことですね。

 だから、俺は右肘を骨折して左手も使うようになったおかげで、地頭が良くなりました。

 それから、俺は元々キレやすい性格だから。

 もし、右肘を骨折していなかったら、バリバリに体を鍛えまくって、ケンカ三昧の日々を送っていたかもしれません。三昧とまでは行かなくても、ちょっとしたことでキレてケンカをしていたと思います。

 その結果として、右肘の骨折以上に、取り返しのつかない大ケガをしていたかもしれません。

 僕は身長が高いから、鍛えてガタイをよくすれば、ケンカでもそこそこ強くなれたかもしれません。

 けど、例えば格闘技で日本、ひいては世界チャンピオンになれるかと言われたら、無理だと思います。

 それよりも、持ち前の妄想力を活かして小説を書く方がきっと向いているだろうし、成功できる確率は高いと思います。

 まあ、今の所はまだまだですけど(笑)

 とにかくまあ、そんな風に考えることで、僕は過去の汚点というか、失敗というか、トラウマを克服したのかな?

 けどまあ、小さい頃のその右肘の骨折が、僕の人生の転機になったことは間違いないでしょう。


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