SNSで見かける「どうしてそんなに怒っているんだろう?」という不思議なコメントたち。「コーンスープ理論(The Corn Soup Theory)」と呼ばれ、今、注目を集めている現象をご存知でしょうか。
今回は、この少しおかしな、でも誰もが身に覚えのあるSNSの不思議な心理について、少し肩の力を抜いて考えてみたいと思います。
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⭐︎「コーンスープのレシピ」に怒る人々
想像してみてください。ある料理好きな人が、ネット上に「美味しいコーンスープの作り方」を投稿しました。材料はコーン、牛乳、バター、少しの塩。至って普通の、親切なレシピ投稿です。
ところが、そのコメント欄にこんな言葉が書き込まれます。
『私はコーンが嫌いなのに、なぜこんなものをアップするのですか?』
『牛乳アレルギーの人がいることへの配慮が足りません!』
一瞬、耳を疑ってしまいますよね。
「いや、嫌いならスルーしてコンソメスープを飲めばいいのでは……?」
と、誰もが心の中でツッコミを入れたくなるはずです。
これが「コーンスープ理論」です。
「世の中のすべての発信は、自分に向けて放たれたものである」
と(無意識のうちに)錯覚し、自分に合わないコンテンツに対してわざわざ「自分に合わない!」と怒りに行ってしまう心理を揶揄した言葉です。
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⭐︎世界の中心に、自分がいるという錯覚
昨今のSNSのタイムラインは、まるで自分専用にカスタマイズされた雑誌のようです。
朝起きてスマホを開けば、自分の好きな趣味、好きな芸能人やインフルエンサー、興味のあるニュースが自動的に飛び込んできます。
この便利すぎる仕組みが、時として私たちの脳にちょっとした「バグ」を引き起こします。
あまりにも快適に自分向けの情報を浴び続けていると、ある日ふと
【ネットの向こうの世界は、すべて私を基準に回っている】
という錯覚に陥ってしまうのです。そのため、たまたま自分の好みに合わないもの(=コーンスープ)が目の前に現れると、まるで自分のプライベートな部屋にズカズカと嫌いなものを持ち込まれたかのような、理不尽な被害者意識を抱いてしまいます。
「私」という主語が大きくなりすぎた結果、相手が「世界に向けて」発信した言葉を、「私個人へのメッセージ」として受け取ってしまう。これが、いわゆるSNSの「ギスギスした空気」の正体なのかもしれません。
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⭐︎コーンスープをそっと横に置く優しさ
私たちはみんな、それぞれ違う味覚を持っています。
コーンスープが大好物な人もいれば、カボチャスープが好きな人もいるし、そもそもスープより味噌汁派の人だっています。
ネットという広大なビュッフェレストランには、あらゆる料理が並んでいます。自分のトレイに載せたくない料理を見つけたとき、わざわざシェフを呼び出して「なぜこれを作ったんだ」と怒る必要はありません。ただ「へえ、こういう料理もあるんだな」と横を通り過ぎ、自分の好きな料理が並ぶコーナーへ歩いていけばいいだけなのです。
もし、SNSで心がチクッとするようなコメントを見かけたり、あるいは自分自身が何かの投稿にイラッとしてしまったりしたときは、ぜひこの言葉を思い出してみてください。
「ああ、これは私向けのコーンスープじゃなかっただけだな」
と。
ネットの海をもう少し穏やかに、心地よい距離感で泳ぐために。私たちに必要なのは、目の前のスープをそっとスルーする、ほんの少しの心の余白なのかもしれません。