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私向けのコーンスープじゃなかっただけ

SNSで見かける「どうしてそんなに怒っているんだろう?」という不思議なコメントたち。「コーンスープ理論(The Corn Soup Theory)」と呼ばれ、今、注目を集めている現象をご存知でしょうか。

今回は、この少しおかしな、でも誰もが身に覚えのあるSNSの不思議な心理について、少し肩の力を抜いて考えてみたいと思います。

◇◇◇

⭐︎「コーンスープのレシピ」に怒る人々

想像してみてください。ある料理好きな人が、ネット上に「美味しいコーンスープの作り方」を投稿しました。材料はコーン、牛乳、バター、少しの塩。至って普通の、親切なレシピ投稿です。

ところが、そのコメント欄にこんな言葉が書き込まれます。

『私はコーンが嫌いなのに、なぜこんなものをアップするのですか?』

『牛乳アレルギーの人がいることへの配慮が足りません!』

一瞬、耳を疑ってしまいますよね。

「いや、嫌いならスルーしてコンソメスープを飲めばいいのでは……?」

と、誰もが心の中でツッコミを入れたくなるはずです。

これが「コーンスープ理論」です。

「世の中のすべての発信は、自分に向けて放たれたものである」

と(無意識のうちに)錯覚し、自分に合わないコンテンツに対してわざわざ「自分に合わない!」と怒りに行ってしまう心理を揶揄した言葉です。

◇◇◇

⭐︎世界の中心に、自分がいるという錯覚

昨今のSNSのタイムラインは、まるで自分専用にカスタマイズされた雑誌のようです。
朝起きてスマホを開けば、自分の好きな趣味、好きな芸能人やインフルエンサー、興味のあるニュースが自動的に飛び込んできます。

この便利すぎる仕組みが、時として私たちの脳にちょっとした「バグ」を引き起こします。

あまりにも快適に自分向けの情報を浴び続けていると、ある日ふと

【ネットの向こうの世界は、すべて私を基準に回っている】

という錯覚に陥ってしまうのです。そのため、たまたま自分の好みに合わないもの(=コーンスープ)が目の前に現れると、まるで自分のプライベートな部屋にズカズカと嫌いなものを持ち込まれたかのような、理不尽な被害者意識を抱いてしまいます。

「私」という主語が大きくなりすぎた結果、相手が「世界に向けて」発信した言葉を、「私個人へのメッセージ」として受け取ってしまう。これが、いわゆるSNSの「ギスギスした空気」の正体なのかもしれません。

◇◇◇

⭐︎コーンスープをそっと横に置く優しさ

私たちはみんな、それぞれ違う味覚を持っています。

コーンスープが大好物な人もいれば、カボチャスープが好きな人もいるし、そもそもスープより味噌汁派の人だっています。

ネットという広大なビュッフェレストランには、あらゆる料理が並んでいます。自分のトレイに載せたくない料理を見つけたとき、わざわざシェフを呼び出して「なぜこれを作ったんだ」と怒る必要はありません。ただ「へえ、こういう料理もあるんだな」と横を通り過ぎ、自分の好きな料理が並ぶコーナーへ歩いていけばいいだけなのです。

もし、SNSで心がチクッとするようなコメントを見かけたり、あるいは自分自身が何かの投稿にイラッとしてしまったりしたときは、ぜひこの言葉を思い出してみてください。

「ああ、これは私向けのコーンスープじゃなかっただけだな」

と。

ネットの海をもう少し穏やかに、心地よい距離感で泳ぐために。私たちに必要なのは、目の前のスープをそっとスルーする、ほんの少しの心の余白なのかもしれません。

12件のコメント

  •  理論の名前を知りませんでしたが、その錯覚はまさに言い得て妙ですね。
     旅行をすると、同じ日本でもいろいろな景色や風土があると気づかされますが、忙殺される中で……ついつい身の回りが無限に広がっているような気分に。

     近視眼的に日々を追っているだけではダメだなぁと、自戒を込めて。
  • そんな考え方をする人がいる事に驚きました🫢
  • 咲野ひさとさん

    SNSの誰かの幸せなポストや、嬉しい報告に謎に怒り狂ってコメントする訳の分からない人は世界で見受けられるそうですね。

    人の嬉しい報告で勝手に幸せになるハッピーな頭をしている私には分からない感覚でしたが、本で読んでとても納得いたしました。

    広く楽しく暮らしたいですね。
    以前エッセイで書いた「Not for me」の意識大事ですね✨
  • 北港南 希典さん

    いるんですよ。
    最近だと、人気モデルの藤田ニコルさんのお子さんのお宮参りのポストに「子供が持てない人に、配慮がない」と当たり屋のようなコメントがあり、まさにこれにあたります。

    世界が自分中心に回ってると思ってる人が、人の幸せに対して「私が不快」と言う気持ちをぶつけてしまってるのです。

    私向けではない

    でそっと離れるのが正解なんなんですよね。
  •  コーンスープ理論。この単語は本当に心に留めておきたい話ですね。
     特に小説とか出版して世に出す人なんかは、こういうのに晒されまくる感じもあるし。

     ウチで出した「パルメザン」なんかもコーンスープを食らって「ほんわかした話だと思ったら内容がトゲトゲしてました」とか読書メーターにわざわざ書かれて、「いや、ホラーなんですけど……」とそっ閉じすることになりましたね(汗)。

     「KADOKAWAから出てるホラー部門受賞作」なのに「角川ホラー文庫とかで出すような話だった」とか批判までされてたし、「それ、1+1を計算したら2になったて批判されてるんじゃ?」としばらく感情の整理がつきませんでした。

     このコーンスープ理論。世の中にもっと浸透させたい概念ですね。間違った批判も減るだろうし、批判された側の心も軽くなると思います。
  • 黒澤 主計さん

    まさに「パルメザンのちっぽけ祝福」、完璧なホラー部門の受賞作品で、帯を見ただけで「ホラー小説ですよ」とわかるし、そもそもジャンル本棚【ホラー】であっても、まさかの「コーンスープ(理不尽な期待)」を食らってしまわれていたのですね……!

    「ホラー文庫で出すような話だった」という批判は、本を読む前に【説明文すら読めておらず】本当に「1+1=2で大正解!これ批判されたらどうしたらいいんだ?」としか言いようがなくて、お話を伺いながら思わず「いや、ホラーなんですけど……!わかるやん!」と一緒になって画面の前でツッコミを入れてしまいました。

    そっ閉じしたくなるお気持ち、本当によく分かります。
    発信側がどれだけ「これは辛口のホラーですよ」「コーンスープですよ」と看板を出していても、勝手に甘口のポタージュを期待して怒る人は一定数現れてしまうものですね。

    この理論がもっと広まって、「あ、これは自分向けのスープじゃなかったな」とそっと画面を閉じていちいち文句つけない心の余白が、ネットの世界にもっと増えてほしいなと切に願います。


    余談ですが、うちの上司は「パルメザン」本を、私が渡し100ページまで読むの許して取り上げたら「面白いから続きが気になって紀伊國屋で買った。この作家さんの本は他にないか調べてカクヨムに辿り着いた」と言い出したのでニヤニヤしてました。

    うちの上司昔からホラー小説を読んで「生きている幸せを噛み締め、生き方を戒める」という謎の楽しみ方してるので多分デスサイズ好きだと思います!
  • コーンスープ理論、初めて耳にした言葉ですが、確かに何でそんな変な投稿するんだろうってことありますね!

    ま、世の中変な人がたくさんいるからな!と思うようにしてますが、その投稿に腹が立つ自分がいます。別に私に対してじゃないのに!

    常に何かしら批判していたいのですかねー。
    批判することがエラいと思ってるとか。
  • 七月七日さん

    世界に向けたポストを、「私に言われた!」と勘違いして噛み付く人は

    【ネットの向こうの世界は、すべて私を基準に回っている!だから世界!私を不快にするな!】

    とキレちゃうんですね。暴君ですな。

    七月七日さんみたいに「なぜこの人こんな言い方するのかな?」と真っ当に穏やかに暮らしている方が嫌気分や悲しい気持ちになるという不幸を撒き散らすので、そういう人見かけたら、そっ離れて遠巻きに「あらー」と呆れてあげてください。

    世界にキレてる人は想像力や創造性がないと言われていますので、そういう人達と真逆の冷静な物書きさんからしたら不思議な生き物に見えるでしょう。
  • こんばんは、
    そういった悪意コメントがTLにながれてくるのをみると、確かになんというかこう…な気持ちもありますね(最近のイオンの服事件など

    なにげに私は食べられないものが多いのですが、さすがに絡みにいったりしないです…

    個人的には良い事を良い、出かけた、楽しかっただとかたくさんいいたいのですが、自慢に思えるケースもあるとか、エーッとなります💦
  • 岩名理子さん

    【世の中はアテクシ(俺様)中心に回っているから、不快にさせたお前が悪い】

    という信じられない暴君がおられます。
    「私向けじゃないわね」
    と、何も言わずに距離を取れる人が大人の態度なんですが、世の中には意味不明なわがままな人怖い。

    まえにSNSの使い方の話しで『斜め上から炎上する』パターンもこれです。
    変な人に絡まれても、言い返さずミュートしてしまいましょう。

    人を妬んで足を引っ張る人はおります。
    まして、面白い小説を書ける岩名さん、変な人絡んでくる可能性もございます。

    人を下げたい人は自身の才能の無さを才能溢れる人への嫉妬に変換しますから。
    万が一絡まれたら、優雅に微笑み無視をして封印してしまいましょう。

    それは怪異に似てますから。
  • そんな理論があるのですね(笑)
    まぁ、確かにSNSでは、たまに見かける現象ですね。
    そんな名前がついていたとは。

    ただ、
    原因は単に、その人の性格的なものかなと思っていたのですが、原因に、SNSのカスタマイズ機能があるというのは、非常に興味深いですね(・ω・)
    それが、そんな錯覚を引き起こすとは。

    ちなみに、私の各種アカウントは、カスタマイズ機能が、まるで役に立っておりません(笑)
    Googleフォームにしろ、YouTubeにしろ、Xにしろ、私が森羅万象様々な調べ物をするせいで、オススメが何かわからず、混乱している感じですね(^^;)

    というわけで、私はコーンスープ理論に嵌ることは、当分なさそうです。
    まぁ、各カスタマイズAIから見たら、ただの厄介者でしょうが(笑)
  • 蒼碧さん

    自他境界しっかりしてる蒼碧さんは大丈夫ですよ間違いない。

    SNSはエコーチェンバーになりやすいですし自分軸がない人は自分が幸せになるぞーと努力するんじゃなくて「私に気を遣え私を不快にさせるな!私より幸せな奴が憎い」と相手を下げようと絡んできます。

    出会ったら、華麗にかわして無言でミュートしてやってくださいね。
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