氷室冴子文学賞に出した小説、何がダメだったのか反省会いってみよう!
https://estar.jp/novels/263780281.現代ファンタジー設定の中途半端さ
今回、小説として「異世界鉄道」という現代ファンタジー要素を入れました。これは、ミステリーの手法、いわゆる「カットバック」を効果的に使用した設定です。
ただねぇ、これ、私は装置としてつかっただけで、掘り下げが足りないんだよね。現在の視点で、絶対に変えようのない過去を俯瞰するという形で書きたかったので仕方がなかったけど、もう少し、「異世界鉄道」でなければできないことを書くべきでした。
2.「死生観」や「哲学的な部分」の底の浅さ
今回、仏教的な人の死生観を1つのテーマとして書いています。ただ六道輪廻や業の話をし出すとややこしくなるので、ここは古代ギリシアの「エリュシュオン」をお借りしました。また、死をなんとなく意味づけるため「レト川」を使ってます。
で、輪廻転生に焦点を絞って、救いに焦点を絞って書いてみました。そうなんですよね。あえて誰でも救われるチックにね。で、説教くさくなるので7話できったんだけど、もう少し掘り下げて考えてもらった方が、次の8話に上手くつながったかな?
3.車掌のキャラの弱さ
ここ迷いました。独特の話し方や性格づけをすることによって、キャラをたたせるかどうか? でも、止めました。なぜなら、車掌は物語の中では裁判官であり、執行官であるから、冷静に、冷徹であって欲しいと思ったからです。ここがダメだったかな?
4.キャラクターの心理描写・行動原理の「綺麗すぎ」「都合の良さ」:
はっきりいます。私は「人の醜さ」は書きたくないのです。人の「美しさ」をかきたいのです。だから、これは否定されるけど、絶対に譲らない部分だったんだけど……、ここがダメでしたかね?
5.展開における「ご都合主義」感と「詰め込みすぎ」:
記憶回復の展開は感動的だけど、奏真の演奏という一つのきっかけで「全て思い出す」というのは、やや出来すぎていると感じるかなぁ? それまでの記憶の断片が徐々に繋がっていくような、もう少し段階的なプロセスがあっても良かったかもしれなかったかなぁ。ただ、これ中編だから、そんなの書いてる文字数ないんだよね。
あと別れのシーン、奏真とのキス→別れ→綾音登場→留学告白→別れ、とイベントが短時間に凝縮されすぎています。ドラマチックではありますが、胡桃の感情処理が追いつかず、読者も置いてけぼりになる可能性があります。一つ一つの別れの意味合いが薄れてしまう危険性もあったかなぁ……。
エピローグ、 十年後に全員が夢を叶え(胡桃はプロ奏者にまでなっている)、幸せになっているという結末は美しいけれど、理想的すぎたかなぁ? 私はこういう理想的なエンド好きなんですけどね。
6.文章表現のクセ・冗長さ:
比喩表現が多すぎたかな? ステレオタイプに比喩が多かったかなぁ。。。結果冗長になってたかも……。あと、モノローグが多かったかな。これがあるからこそ感動が大きかったと言えなくもないけれど、ね。
じゃ、次回は、文芸社におちたピアノの話、いってみよう!