大吟醸というのは、価格が高いので、物を知らない人はとにかくこれが良いと思い込む。
ところが、大吟醸というものは、まずもって精米歩合が低い。言い換えると、米をおおいに削る。そのぶん、雑味少なく、香りスッキリ上品である。
金になるので、酒蔵も凝ったことをする。
これは誠に結構だが、金持ち向けの商売である。
いっぽう純米酒くらいになると、違う味わいがある。
精米歩合はやや高め。そのぶん、味があって、香りも面白い。
ゆえに、酒蔵の個性を味わいたければ、大吟醸よりもこちらのほうがよいくらいである。日本酒にうるせえ身内は、大吟醸なんか祝いの席のためのもんで、普段飲みするなら純米酒のほうがよほど佳い、と言う。
日本酒にうるせえ身内(趣味は『お百姓さん俱楽部』)が言うには、中でも秋田・山形の酒は『どろっとしている』らしい。まずもって、日本海側、醸す季節に雪の多い地域の酒が好きである。
日本海側でも、新潟の酒とかは首都圏のホワイトカラー向けの酒が多い一方、なかでも秋田・山形の酒は肉体労働者が一日の〆に飲むに良い感じの太さがあるという。
私が住んでいる辺りで、秋田・山形の酒が手に入るのは、電車でちょっと北に行った、都会の酒屋くらいだ。
さういふ訳で、家族の集まる席では、私は北の都会に出かけるのである。