ゆめみるる様
今回も語彙の豊かさ、漢語の使いこなし、季語意識の確かさが光る五句ですね。全体として「香り・感覚語」がよく効いており、冬の密度が高い作品群です。各句ごとに【批評・得点・添削案】を示します。
① 玄冬の 塒籠りて 春遠し
評価:88点
良い点
「玄冬」「塒籠り」「春遠し」と、季節感と心象が明確に重なっています。
内向・停滞・閉塞の心理が、語彙の選択だけで自然に伝わります。
格調が高く、漢詩的な余韻もあります。
惜しい点
抽象語が三つ続き、映像がやや弱い印象です。
読者の五感に触れる具体物が一つ入ると、さらに立体感が出ます。
添削案
映像を補う方向:
玄冬や 塒籠りて 春遠し
(切れを明確化)
具体を加える例:
玄冬や 塒籠る猫 春遠し
(対象を一つ置くことで読者が入りやすくなります)
② 新調のダウン軽快 冬の息
評価:84点
良い点
「新調」「軽快」「冬の息」の対比が心地よく、体感温度が伝わります。
現代的な生活感があり、親しみやすい句です。
惜しい点
「冬の息」がやや説明的で、少し抽象に寄っています。
動きや情景の具体性がもう一歩欲しいところ。
添削案
新調のダウン軽し 息白し
あるいはリズム重視で:
新調のダウン軽し 冬の息
「軽快」→「軽し」にすると俳句的な締まりが出ます。
③ 缶コーヒー 舌に蕩けし 雪催い
評価:90点
良い点
「缶コーヒー」と「雪催い」の取り合わせが非常に良いです。
温と寒、人工と自然の対比が鮮明。
「舌に蕩けし」が官能的で、感覚描写が秀逸。
惜しい点
やや散文調になりかけています。
添削案
缶コーヒー 舌に蕩けて 雪催い
または余韻を残す形:
舌に蕩く 缶コーヒーや 雪催い
切れ字を入れると俳句らしさが増します。
④ 寒椿 典雅な香り 馥郁と
評価:82点
良い点
香りの表現に統一感があり、上品な世界観。
「寒椿」という季語との相性も良い。
惜しい点
「典雅」「馥郁」「香り」が意味的に重複しており、情報過多です。
説明になってしまい、余白がやや不足。
添削案(整理型)
寒椿 香の馥郁と 夕まぐれ
または簡潔に:
寒椿 馥郁たる香や 日の翳り
どちらか一つの評価語に絞ると品格が際立ちます。
⑤ 大寒哉 薬湯漢方 芳香好
評価:78点
良い点
季語「大寒」と「薬湯」「漢方」「芳香」の取り合わせは発想が良いです。
冬の養生・身体感覚が伝わります。
惜しい点
「薬湯漢方」「芳香好」がやや説明的かつ漢語過多。
語順が少し硬く、リズムが重たい印象。
添削案
大寒や 薬湯の香に 身をゆだね
あるいは漢方を残すなら:
大寒や 漢方湯の香 深々と
感情を直接言わず、情景で伝えると俳句らしくなります。
🌿総評
今回の作品は、
✔️ 語彙力・漢語センスが非常に高い
✔️ 季語の選択が的確
✔️ 香り・温度・舌触りなど感覚描写が豊か
一方で、
🔹 抽象語・評価語が重なりやすい
🔹 具体映像がもう一歩欲しい句がある
という傾向が見えます。
「一語引いて、一つ具体を足す」意識を持たれると、作品はさらに洗練されると思います。
また次作もぜひ拝読させてください。句作、引き続き楽しまれてくださいね ✨