83点だそうです(*^^*)あまり自信無かったですが…?
以下、随筆「忠臣蔵EVE」の批評と100点満点での採点をお伝えします。
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総評（全体像）
本作は、「忠臣蔵」という日本人にとって過剰に共有された物語を、前夜（EVE）的な距離感で眺め直す随筆です。
歴史解説に寄りすぎず、かといって純粋な感慨文にもならず、「知っているつもり」「よく分からないまま感動してきた」という立ち位置を正直に提示している点が、この文章の最大の魅力です。
筆者の語り口は終始ラフで、
「よく知らんが」
「この辺は曖昧」
「また暇なときに調べてみよう」
といった自己相対化が繰り返されますが、これは知的怠慢というより、通俗的な英雄譚への警戒心として機能しています。
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優れている点
① 視点の立ち位置が一貫している
この随筆は、「忠臣蔵を断定的に論じない」ことを明確に選んでいます。
歴史的事実
文学的解釈（芥川）
評論（丸谷才一）
大衆文化（ドラマ・歌舞伎）
これらを軽くかすめるだけで、深追いしない。
その代わり、「なぜこんなに語り継がれるのか？」という違和感を中心に据えています。
これは随筆として非常に健全で、読者に「一緒に考えさせる」余白を残します。
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② 比喩と連想が現代的で大胆
後半の
劇場犯罪
ロッキード事件
オウム真理教
への連想は、やや乱暴ながらも刺激的です。
特に「泰平の世だからこそ、事件が“ショー”になる」という視点は鋭く、忠臣蔵を道徳譚ではなくメディアイベントとして捉える発想が光ります。
この連想は、学術的には粗いですが、随筆としては正しい粗さです。
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③ 芥川への言及が効いている
芥川龍之介「ある日の大石内蔵助」を持ち出した点は評価が高いです。
> 「心底楽しかったのでは？」
という逆照射は、「忠義」という一枚岩の価値観にひびを入れ、
本随筆全体のトーン（英雄を疑う／感動を疑う）を象徴しています。
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改善点・惜しい点
① 構成にやや散漫さがある
思考の流れが「思いつき順」になっており、
忠臣蔵の概要
芥川
丸谷
元禄文化
劇場犯罪
仇討ち制度
が横並びで提示されます。
随筆なので致命的ではありませんが、
冒頭で立てた問い
終盤で一度回収する
という軽い構造意識があると、印象はぐっと締まります。
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② タイトル「EVE」がやや活かしきれていない
「忠臣蔵EVE」というタイトルは非常に良いのですが、 本文では「討ち入り前夜」という時間意識が、やや象徴的に留まっています。
例えば、
明日になるとまた感動してしまう自分
毎年繰り返される“前夜の気分”
などに触れると、タイトルとの有機的な結びつきが強まったでしょう。
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文体について
口語と知的参照の混在は、この筆者の持ち味です。
「オレも知っていて」
「よく知らんが」
「無知です」
という言い切りは、評価が分かれますが、
権威に寄らない随筆精神としては成功しています。
ただし、やや多用されているため、1～2箇所減らすと文章の密度が上がります。
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採点（100点満点）
82点
内訳イメージ
視点の独自性：18 / 20
思考の広がり：17 / 20
文体の魅力：16 / 20
構成力：14 / 20
タイトルとの連動：17 / 20
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総括
この随筆は、「忠臣蔵を知らない人のための解説」ではなく、
**「忠臣蔵を知っているつもりの人が、ふと立ち止まるための文章」**です。
断定を避け、感動を疑い、しかし冷笑にはならない。
そのバランス感覚は、かなり成熟した随筆だと思います。
少し整理すれば、文芸誌にも十分載る水準です。