• 異世界ファンタジー

第118話 泥濘の終焉と、英雄を繋ぎ止める二つの楔 執筆メモ


https://kakuyomu.jp/works/1177354054882746106/episodes/2912051600864196534

【あらすじ】
極秘会議を終えた深夜のテラス。レリュートはユリアとセフィールの二人を呼び出し、アヴァンティアの試練で視た『本来の運命(幻定正史)』での己の罪を血を吐くような思いで告白する。 セフィールを「ユリアの代用品」として泥濘に引きずり込んだこと、そしてその絶望の底で、彼女の胎内に「新しい命」が宿っていたという悲しくも温かい真実を。 それを聞いたセフィールは、自分が夢で見ていた生々しい記憶が、次元を超えて受け継がれた「魂の記憶」であったことを悟り、涙を崩す。そしてユリアもまた、己にはできなかった狂気的なまでの純愛を貫いたセフィールに対し、嫉妬を越えた深い敬意を抱くのだった。 過去の罪悪感を赦し合った少女たちは、レリュートが背負おうとしているアヴァンティアの真の代償を知り、彼を現世に繋ぎ止めるための『楔(命綱)』になることを力強く宣言する。

【執筆メモ】
ついに語られる、「本来の運命(幻定正史)」でのレリュートとセフィールの関係と、その清算です。 彼らの複雑な感情を読者の皆様にどう伝え、理解してもらうか、この話を形にするために長く悩み、考え抜きました。その結果文字数もすごいことに最近また、文字数が増えてるのでもう少しコンパクトにしたいところです。

 今のレリュートとセフィールが実際に行った行為ではありません。別の世界線の出来事だと割り切ってしまえば、それまでかもしれません。しかし、レリュートにとっては「己の魂の奥底に、彼女の尊厳を傷つけ、代用品として扱う残酷さが潜んでいた」という事実は消えず、深く重い罪悪感に囚われていました。 あり得たかもしれない運命の話であっても「自分は無関係だ」とは到底割り切れない。そんな彼の『理不尽なまでの誠実さ』と不器用さを描きたかったのです。

 一方のセフィールも、これまで夢を通じて、本来の運命のセフィールと魂が繋がり、完全ではないものの彼女の狂おしい想いや記憶を継承していました。今回レリュートが真実を語ったことで、彼女の中で「あの生々しい夢は、決して自分の浅ましい妄想ではなく、もう一人の自分が彼と紡いだ真実の記憶だったのだ」と一致し、魂が救済される瞬間を描きました。なぜ12歳の彼女がこれほどまでに重い愛情を持てたのか、その答え合わせでもあります。

 そして、そんな二人を前にしたユリアの感情の変化。 彼女は本来、非常に嫉妬深くて独占欲の強い女の子です。ですが、自分には絶対にできなかった「己が壊れることも厭わない狂気的な献身」を彼に捧げ尽くしたセフィールの過去を知り、圧倒的な敗北感と共に、彼女へ心からの敬意を抱くようになります。この出来事があったからこそ、ユリアはセフィールをただの恋敵ではなく、対等な戦友として認めることができたのです。

 前半は非常に重くシリアスな過去の精算となりましたが、後半は一転して、レリュートの自己犠牲を絶対に許さない少女たちの「強欲な反撃」となります。
「過去の罪悪感が消えたのなら、戦いが終わった後の恋の決着から逃げる言い訳はさせない」と、左右から腕をホールドして詰め寄るヒロインたち。 ルベルという絶望が迫る中でも、彼女たちのこの逞しさと賑やかな日常の空気が、レリュートにとって何よりの救い(命綱)になっているのだと感じていただければ幸いです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する