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へたれメガネのススメと四次元ポケット、漢詩の答え合わせ(流刃秘抄3話)

 流刃秘抄3話『鶴形童子〜阿智』を公開しました。
 作中では「鶴形神社」ですが、実在するのは「阿智神社」です。「鶴形童子」の方がカッコイイのでこうなりました。

<へたれメガネ巫女のススメ>
 巫女の美鶴ですが、最初はもっとちゃんとしたヒロインらしい、普通に美少女で、1人で神社を守っていく凛としたところもあって……みたいなキャラで書いてたんですが、……なんだろう、どうもしっくり来ないというか面白味がないというか……。
(……これはほぼ間違いなく「書き手自身にそういう要素が一切ないので共感しづらい」という理由が大きいんだろうな www)
 なので、途中からセリフ等々書き直して、へたれ巫女にしてしまいましたw
 これは絶対「へたれメガネ」キャラだな、この時代にメガネがないからかけてないだけで、と思いながらw
 なので美鶴にはお好みで脳内でメガネかけさせてやってください www

<童子の四次元ポケット>
 鶴丸こと鶴形童子が持っていたお団子と瓜を浄心に分けてあげた、という描写がありますが、あれは「持っていた」のではありません。
 鶴形神社の御神刀の顕現である鶴形童子は、どこにいても任意のタイミングで鶴形神社内にあるお供え物を懐から取り出すことができるのです。
 なんせ神なので。他にも特殊スキルがあるかもしれません。

<前回活動報告で紹介した漢詩の解説と答え合わせ>
 というわけで、前回活動報告で画像を上げた漢詩の石碑は鶴形神社のすぐ近くにあったものです。隣の立て札に書き下し文が書かれていて、鶴形を吹く風の音を雅楽の音色にたとえたものかな? というところまではその場でわかりました。
 詳しい解説はこちらの方がブログ記事に書いておられます。現代語訳もあります。

倉敷早朝散歩3-窪田静太郎詩碑-(河童日本紀行324)
http://blog.livedoor.jp/shin1917russ/archives/54205179.html

ーー天風吼え渡る万松の枝ーー

 だからこの漢詩を見た時、ほんとびっくりしました。
 鎌鼬、お前本当にここにいたのか、と。
 それにしても笙の音色に聞こえるとは、随分と丸くなったものですね。

2件のコメント

  • どこに書くのが適切か?
    悩んでいたコメントですがうまいとこ「へたれ巫女」と言うのが出てきてるのでここに書きますね。ちょっと長くなるかも。
    私が日暮さんという見知らぬ作家さんの「流刃秘抄」というタイトルの時代小説を面白いな読ませるな、と思ったのはこのキャラクター配置のこだわりにあるのやも。この主人公は錬十郎というおっさんは悪いか?成人済みいわくありそな剣豪です。たくさんあるweb小説では等身大(?でも書き手はきっともっと年いってる笑)の少女が多いと思います。そこまでたくさん読んでないけど、印象として。
    しかしここでヒーローはおっさんだった、とても印象が鮮やかになります。しかも愛していた女に殺されかけそれを追っているの悽愴なロマンじゃないですか!舞台になっている時代はもっと古いが、女敵討ちですら価値なしとされる日本の時代小説価値観の中で、伝奇ジャンルで「剣に奪い取られた女」を探し求めるというテーマは日暮さんの掘り当てた鉱脈かと存じます、マジで。


    それで今回三回目「鶴形童子〜阿智」では、巫女の美鶴さんが出てきました。ちょっとびっくりしたステレオだったから。しかもめっちゃ若くて!二重にびっくりしました。とはいえ若すぎるとおっさん剣士から見たら性愛対象になりにくい、庇護対象にしかならないからゲストとしては順当なのか・・と思い直して読みました。

    私は浄心が好きなのよねえ、なもので冒頭ちょっと練さんに置いてかれるだけの描写でも萌えました。ちょっとだけ浄心の描写を増やしていいかな。泣きそうな眉とか一話になかった?美少年である必要は全然ないけど、鶴丸童子が強キャラな分、浄心がいたいけでいいかも・・・・・というところで美鶴ちゃんです。同級生に千鶴ちゃんという可愛い子がいたので被るというかキーボード打ち違えそうな。
    美鶴の設定変更について読んでなるほどと思いました。登場のままだとステレオ(でも平安末期の巫女や神官見習いについては詳しくない。ライノベのイメージ……くしまち先生のかんづかさかな?ちょっとクトゥルフだし…)になる、確かに自分も感じた、そこで美鶴と鶴丸とで精神的支え、物理で神がかりパワーとを分かち合い社を支えることにさせたか、鳥居あっさり壊されたけど。
    呪いの化け物がまたなんか、美鶴&鶴丸のバランス境界を妬んできてる(理不尽にぶっ込んできてる)感じがあってそれも良かった。イタチを殺さず、囲い込みにする裁定も腑に落ちました。美鶴のキャラも得も上がったよね、ここで。ただそうなると鶴丸……鶴形童子の印象が弱くなる。神剣の落とし所も、ちょっと……前回の弘法大師にはやはり届かなかった。まああれはね、ほぼ反則級だけど笑

    それから野党軍団の数がちょっと多いかと。私が算数できなすぎるだけかもしれないが、七人と首領くらいで許してあげて。どんな名工の剣でも細身の日本刀、切る、突く、刺すの宿命によって五、六人の血と脂で限界がくる。ひと組くらい同士討ちにさせといて、刺して抜けなくなったところをインターセプトして斬ると殺し方にヴァリエーションがでる。初手狭い部屋に誘いこんだのは、正しい多勢に無勢の戦い方だったね。間取りがわかっているから、わざと灯りを消すのもありだし、疲れて剣を支える腕の筋肉に乳酸が溜まってくるのを描写すると「真剣の重み」なるものを感じさせる。



















  • 全編を読み返し、前回の感想を自己添削しようと考えたところ・・いかん!熱量にまかせて書いたせいかマッタク刃が立ちません‼️

    なもので、前に向かって完結編「千刃〜備前長船」を軸に全体の感想を述べることにしました。

    私は作者さまのお年とかほとんど存じ上げないのですが、語り口と源平の昔を能楽のゆかり深い土地柄と絡めているところたまに顔を出す文語調、男女の関係に程よい(そう、程よき!)色気などから、きゃぴったギャルではあるまい(死語をすいません😭)と思い安心して読んでまいりました。
    それから個人的に海のけしきがとても好きで、物語の重要背景となる平家の撤退戦・・海戦の舞台となる内海の描写が楽しみのひとつでした! 浅瀬、小島、袖を濡らすあだ波💦 個人の特異な萌え方ですいません。。

    萌えと言えば・・第一話を読んで最初にこれはッと脳みそを震盪させられるほど感じ入ったというかやはり萌えたイメージが鉄山の首を斬りとるヒロインでした。病気で本当にすみません!
    旧約聖書のユディト、ビアズレイの描いたサロメ、「世にも怪奇な物語」の悪魔(美少女)の首飾り!!!
    女性心理の奥深くに棲む呪わしくも凶々しい渇望。本作ではその魔性にまた別の魔物が・・刀鍛冶の家で幼きころより精錬を見つめてきた娘に、鋼を煮溶かす焔と共に吹き熾される情炎か愛憎の念ゆえか、刀の精霊に宰領された奇禍なのか!? 『流刃秘抄』モノにこそ宿る神性の幻想(ファンタジー)、刀の持つ魔性に取り憑かれあやしいイメージの揺らぎを四篇のオムニバスに封じ込めた作者・日暮奈津子こそ刀匠であり炎舞の巫女その人かもしれぬ。

    四話目にして完結編では、まさにこの巫女、神楽舞の白拍子としてヒロインが降臨する。彼女を追い求め続け「この手で斬る」と思い詰める主人公錬十郎の前に、いとも優美に、いともかろやかにいとも不吉に…!

    あれっこのコメント欄完結編のネタバラシしていいんでしたっけ? いきなり正気が戻ってきたので、ネタバレだけは回避しておきます……

    あやしくも扇情的に、舞台上の刀の巫女、千尋である千刃が煽る。己の本心を明かす。

     我は、こうありたい我となる、と。
     己が生まれてきて、生きてると、自分らしく生きている、という境地に至る。
     それは願望でも、夢でさえない、有り様だからなのだと。

    「違う……」と稚い僧は反駁を試みる、野心と蛮行との戦野に人の心を獣に変えさせまいとする。


     そしてヒーローは、千尋を追って、千刃の抜き身の前に身を晒す練十郎は心を決する。

     必然に抗あらがえ。
     ただ砕くことだけを見据え。
     この俺と、刀が有ある。
     青眼の切っ先の、さらになにも見えないその先へと――


     ふたりの心と二振りの刀の決着を、ぜひその目で見届け……読了してください‼️


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