自分でもどうして同じ話を(アレンジしつつとは言え)何度もネタに書いてしまったのか整理しようと思っていきさつを書いてみた。
・夫の親族(倉敷市在住)から初詣などで一緒に藤戸寺に行った時に笹無山と佐々木盛綱の伝承、藤戸寺の来歴、能楽『藤戸』との関連を聞く(ただしこの時点では全く能楽に関心はなく、「ふーん」で終わる。)
・同じ話を何度か聞かされるうちに「これTRPGのシナリオネタになるのでは?」と思いつく。
→騎士モーリッツ(w)は夜な夜な怪しい亡霊に脅(おびや)かされるので主人公に討伐を依頼。だがその亡霊はモーリッツが騎士に叙せられるきっかけとなった戦いでモーリッツに迷いの森の抜け道を教えて殺された森番の亡霊だったことが主人公らの調査で判明、みたいな。つまりこの時点では盛綱(モーリッツ)は漁師(森番)を口封じに殺しただけで、ラスボスになる筋書きではない。
・この頃からEテレ『にほんごであそぼ』にハマり、狂言師・野村萬斎や文楽の豊竹咲穂大夫(現・竹本織太夫)&鶴澤清助&桐竹勘十郎(人間国宝)の名演を通して徐々に狂言、文楽、歌舞伎、能を素人なりに見るようになる(主にTVで)。
・同時にクトゥルフ神話TRPGがらみで戦前〜戦中の日本が舞台のクトゥルフ小説も書き始める。だがグロ描写が苦手で「マイルドクトゥルフ小説」とか言い始める。
・和風TRPG『不知火』発売、購入。
https://r-r.arclight.co.jp/rpg/shiranui/
「これなら盛綱の話をシナリオにできるじゃん!」
↓
不知火RPGシナリオ『笹無山〜藤戸』
http://imaginationnote.blog.fc2.com/blog-entry-130.html?sp
ここで初めて盛綱が漁師の老母まで殺してラスボス化→主人公らに討伐されるも表向きは化け物と相打ちになったことにされるという展開を思いつく。弘法大師が藤戸寺の和尚なのもこの時から。だが刀の妄執うんぬんとか短刀が大太刀とかの話は無い。
・Eテレで見た能楽『猩猩』で、「海から来た異形の種族が富をもたらすってそれ完全に『インスマスの影』じゃん!」とアイデアロールに成功。『猩猩〜蜜井戸の壺』を書く。ここに人類初の「能楽×クトゥルフ神話」の悪魔合体が成立。
・「なんか刀で戦うバトル物が書きたいな〜」と『流刃秘抄』の構想を考え始めたところ、ちょうどカクヨムコンの期間だったので字数的にも読み切り短編が良さげだなと執筆。カクヨムコン短編部門にエントリー。
・ツイッター(現在Xを僭称するアレ)の2つあるアカウントのうち、普段趣味の話をしない職業がらみ裏アカウントでも小説の宣伝をしてたら、意外にも表アカウントよりも応援していただけるように。「続きが気になる」とのお声も複数あり、カクヨムコン短編とは別に続編(連載版)を構想。短編版とは別に『流刃秘抄 連載版 第一話 征重の刀〜伊予桜井』を執筆。
・連載版ラストは千尋討伐で確定だが、2話目で倒して終わりじゃつまんないし、その間にいくつかエピソードを挟みたいな〜→『不知火』の佐々木盛綱シナリオ使えばいいじゃん、時代も合ってるし!→ほぼそのまま流用して第二話『盛綱の刀〜藤戸笹無山』を執筆。さらに二話を書き足して全四話で完結。note「創作大賞2025」にエントリー。
・カクヨムコン短編『流刃秘抄』中間審査突破→最終選考落選。note「創作大賞」一次落選。
・内田百閒文学賞の存在を知る
↓
https://o-bunka.or.jp/award/application/
→「岡山にゆかりのある短編小説なら、『藤戸』のアレンジでいけるんじゃね?盛綱が斬った漁師はクトゥルフ神話の『深きもの』だったという解釈はどうだ?!(またしてもアイデアロール成功)」
〜あらすじ〜
訴え出てきた老母に盛綱が「なるほど確かにお前らは人間じゃないけど、親が子を思う気持ちは人間と一緒やったんやなあ。すまんことしたのう。これこのように仏塔を建てて、よーに供養しちゃるけん勘弁してくれや」と詫びる→経ヶ島に夜な夜な老母と深きものの群れが来て嘆く→盛綱「ちょ、やっぱお前らキメェわ…近づけんようにしたろ」→干拓を奨励して全部陸地に、みたいな話どやろ?
→内田百閒文学賞の過去4年ぶんの受賞作品集を買って読んでみた→「…これどう見ても『岡山ゆかりのエピソードにちょっと独自の解釈加えたエンタメ小説書きました!』ってノリで太刀打ちするの無理じゃね?ましてクトゥルフネタなんてキワモノ持ち出すのは…」
→「そもそも、このあらすじで書いてもお話としてあんま面白くないだろ…クトゥルフとしても中途半端だし…」
・カクヨム自主企画「第三回杉村幻想短編文学賞(2025年)」の存在を知る
https://kakuyomu.jp/user_events/16818792439469077333
「クトゥルー(クトゥルフ)神話作家さんの企画で、しかもクトゥルー(クトゥルフ)神話幻想賞があるんなら、自主企画とは言えこっちに出すべきだろ! 存分にクトゥルフネタぶち込んで書いてやれ!」
→『経ヶ島』執筆。
てな流れ。
…思うに、もともと平家物語で語られたような「浅瀬の存在を聞き出しておいて、口封じで殺す」ってやり口がもう「おいおい盛綱あんまりじゃね?」って感じられてしまったからこそ、笹無山伝承が出てきたり、世阿弥が二次創作しちゃったりしたんじゃないかと。
『藤戸』は、因縁話としてとてもイマジネーションをかき立てる逸話だと思っています個人的に。
そしてある種の創作活動が「既存作品をいかに換骨奪胎するか?」という醍醐味を含んでいる部分もあるのでは?と愚考する次第。