ボツ理由:
写真がないと伝わらないため(笑)
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「さあ皆さん、あちらをご注目ください! ヒツジさんたちの登場ですよー!」
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スタッフのお姉さんが示した先へ視線を移すと、丘の上の厩舎から牧羊犬に追い立てられるようにヒツジたちがモフモフと出てきた。
「ファー」
次女が感嘆の声を上げた。
ぼくたちがいる高台の下の斜面をヒツジたちが一列になって進んでいく。
ときどき列が乱れると、すぐさま牧羊犬が走ってきて列を整える。
「ワンコ、賢いねえ」
たぶん長女が比較対象にしてるのはウチのチワワだろう。
うん……ウチの子に比べると大体のワンコは賢いよ。
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ちょうど3年前のクリスマス。
ぼくたちは千葉の某牧場でヒツジショーを見ていた。
ヒツジたちの群れが自分の体を使って牧草地に文字を描くのだそうだ。
「おやおやー? なんだか文字になってきましたよー?」
スタッフのお姉さんが言う通り、牧草地の平坦になっているところにヒツジが集合してモフモフしている。
その周りを牧羊犬が走り、形を整えていく。
基本的に、この場で一生懸命働いているのはこの牧羊犬だけである。
ヒツジショーというよりワンコショーな気がしないでもないけれど……まあ、それはいい。
雑然としていたヒツジの群れはいつの間にか整えられて、なるほど、漢字一文字が浮かび上がってきた。
ヒツジ文字の完成である。
その様子に満足したようにお姉さんはこちら観客たちへと向き直り、こう呼びかけた。
「文字が見えますねー? 大きな声で答えを教えてもらえますかー? せーのっ」
ぼくたちは笑顔で答えた。
「卵ー!!」
正解は翌年の干支、「卯(う)」でした。
お姉さんは「うーーっ!!」言うてました。
可愛かった。
