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作者による作品解説のようなもの・6

『処刑を回避したい令嬢と魂を取りたい悪魔との死に戻り契約』

 AIに読ませたら、

「会話のテンポはいいが、描写が少なく読者の想像力への負担が大きい」
「ヒロインが知力も倫理観も乏しく、行動力のみ突出した尖がった設定」
「平均的な悪役令嬢から大きく逸脱している」

 と散々な評価だった作品です。
 でも私これ気に入ってるんです。

 どこら辺が気に入ってるかというと、まず地の文が極端に少ない構造です。
 誰がどこで何をしているのか、読者は会話から想像するのみです。
 確かに不親切かもしれません。
 イマジネーションを補助するような情報(髪が何色だとか瞳が何色だとか)を書き込んである方が情景を思い浮かべやすいかもしれません。

 だけどそんな描写いちいち読んでたら時間がかかってしょうがない。
 人間暇じゃないんだ(いや、ネット小説を読む時は暇かもしれませんが)。
 ストーリーがさくさく進む方がいいじゃないか(さくさく=内容すかすかですが)。

 この作品を書くにあたって一番重要なテーマは描写云々ではなく、ヒロインが口にした素朴な疑問です。
 時間遡行、逆行、タイムリープ、どう呼んでも自由ですが、過去へ遡ることを『巻き戻し』と表現している作品は少なくない。
 いったい何を巻いてるつもりなんだ、と。
 テレビやモニターのリモコンに当たり前のように「巻き戻し」「早送り」のボタンがあるけど、今の時代に巻いて戻すカセットテープを使ってる人どれだけいるのか、と。
 レンタルビデオ店からビデオテープが消えたのはいつ頃でしたっけ。
 異世界が舞台の場合、身近な家電製品がない設定なら「巻き戻し」の概念もないはずですよね。
 日本からの転生者や転移者が概念を持ち込んだのでない限り、時間の逆行を「巻き戻し」とは言わないはずなんですよ。
 純粋に現地生産のヒーロー&ヒロインたちよ、何を巻いてるつもりなんだー!!

 ……と、それだけが書きたかったのです。

 以上、重箱の隅をつつきたい作者の心の叫びでした。

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