一人称が一番、書いていて違和感ないなーと今までは思っていたけれど、よく考えてみれば、小説が一人称で書かれているという事は要するに、作中の誰かが自分で筆をとったという体を取るわけで...そうすると、自分で自分の小説を書いているという事になるけれど...それってものすごく特殊な状況なんじゃないかって気がしてくる。
だって普通、書かないじゃないですか。自分が見聞きしたものを、小説でなんて。自分の内面なんて、そうそう晒さないじゃないですか。
主人公はそうせざるを得ない状況に置かれている / いたのか、或いは、そうするよう見えない誰かに仕向けられたのか...。
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何でこんなこと考えているかって言うと、最近また、まとまった時間が取れるようになったので、最初に挫折した『特異点技術収集機構』のリベンジをしているんですよね。で、今回は三人称で書いているのですが...。
いまいち筆が乗らない。
やっぱり作中人物に語ってほしいなーって思いが強くなってくる。
でもなー。何でもかんでも彼 / 彼女に語らせるのも、どうなんだろうなって思う。つまり、書き手は自らの作家性から逃れられないんじゃないかっていう。なら仮想的語り手、つまり三人称の語り手を作るしかないんじゃなかろうか。
あと視点移動をやりたいんだけど、一人称だと誰が喋ってるのか分からなくなるから、それはやりたくないんだよな...というのが一番ある。
うーん。
小説は読者に感情移入させてなんぼだと思っているのだが、それにふさわしい人称は、必ずしも一人称ではないんじゃないか...と、最近思い始めている。難しいけど、どうにかしてうまくやりたい。