「ふしぎな話」が、子どもの頃から好きでした。
空が落ちてくる夢を見たり、誰もいない部屋で名前を呼ばれた気がしたり、
道ばたの石ころに、なにかの合図がかくれているように思えたり――。
そんな日々のなかで、
「もしかして、この世界には、目に見えない〈何か〉があるんじゃないか」
と、心のどこかで信じていました。
大人になると、
ふしぎなことを笑うようになったり、
見えないものは「ない」と決めてしまったりします。
けれど、ふしぎに出会う力は、きっと子どもたちの中に生きています。
このシリーズは、そんな「子どもの目」に、そっと寄りそうように書きました。
やさしい気持ちや、すこしの勇気、
まちがえても、うまくできなくても、それでも前を向いていく心。
そういったものを、小さな不思議の中に忍ばせながら、
「ふだんの毎日」が、少しだけ違って見えるようなお話を集めました。
ふしぎは、きっと、あなたのすぐそばにあります。
風の音や、道のかたむき、心がふと動く瞬間に。
『ちょっとふしぎな まいにち』が、
読んでくれたあなたの毎日を、そっと照らす灯りになりますように。