薪ストーブのある山小屋に引き篭もり、時折パチパチと爆ぜるBGMの中でクラムチャウダーにパンのカケラを浸す。窓の外は吹雪。そのドアの向こうは異世界。
だが必ずしも赴く必要はない。
冬将軍が辺りを支配する間は読書と執筆に明け暮れ、時々蔵書を整理する。
精霊達が目を覚ましたら忙しくなるから、今だけのゆったりした時間。
雪解け水と共に山を下り、公園や駅に設置したポスト型ライブラリに本を入れて回るのだ。誰でも自由にその場で読める本を。
散歩途中の休憩がてら手に取ってくれる人が少しずつ増えてきた。待ち合わせ場所にする人も居るらしい。木々の鳴る音、子供の遊ぶ声や周囲のざわざわ音がBGMになるオープン・ライブラリー。
今年は神社にも声をかけてみようか。街角への設置も挑戦しどきかも。
気軽に楽しく歩ける街には座って休める場所が沢山あるものだ。街路樹の木陰に森の木で作ったベンチも設置するなら、木工職人のクマに声をかけよう。
作って並べて買ってくれる人を待つ。昔はそうだったらしい。
けれども今は、お金という数字だけの存在もお伽話になりつつある。
食べ物を育て、住む場所を整え、着るものを繕う。必要なものしか作らないし、それを交換するだけだ。そんな暮らしの中で感じたこと、見つけたもの、或いはなんでもない話が本になる。
ぼくはそれらを読み、面白さを誰かに伝える。そうすると、誰かのやりたいことと、その力を持つ誰かが繋がることがあるらしい。作業用のエプロンにポケットを増やしてくれた人がそんな話をしてくれた。
ポストの本を入れ替えている時にリンゴをくれた人がエプロンを褒めてくれたから、ポケットに入れてあった仕立て屋『ウール』のショップカードを渡して、「ワインが好きらしい、チーズにも目がないよ」と伝えておいた。
ぼくのお気に入りのこのテーブルは、その時のリンゴで作ったアップルパイの礼だと言って木工職人のクマが作ってくれたものだ。ここで書いたぼくの本は、パン屋のコトリが焼けるのを待つ間に読むのだと言って持っていった。
一人じゃ食べきれない色んな種類のパンを、チーズ屋のミルクが持ってきてくれたクラムチャウダーに浸して、今一緒に食べている。もちろん薪割りをしてくれたキツネも、共に円卓を囲んでいる。
―― Raccoon Dog Library構想の未明
そんな暮らしを本気で考え始める、寒波な日。
独りでは創れない世の中の形。
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前置きが随分と長いようですが、面白そうな自主企画をいくつか見つけたので、書いちゃおうかな〜と企んでいるところです。
①大人たちで示す税の在り方(感想文・作文・評論のみ)
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093093399361998→作品の枠と紹介文(コンセプト)だけカクヨムで作成済み
②【書架】近況ノートがほぼエッセイ?!な作者さんの最新作
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093093265575639→『アンバールド創世記』で参加中、加えて近況ノートを充実?させてみた
③文具沼に浸かる同士は居ますか?
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093093411874820→一旦noteで写真などを載せつつ軽く書いてみた。次いでカクヨム用の作品を構想していたところ、その記事をnote公式さんの『今日の注目記事』に掲載していただけた。
◉ペンとインクの沼人たちへ(note記事)
https://note.com/magic_tourism/n/n4b23555abeb5【写真】
引退した列車を引き取って改造して、Raccoon Dog Libraryの書庫と棲まいにできたら楽しそうだ、と妄想を掻き立てられた北海道は小樽の総合博物館の一角。
(冒頭の作文も併せ、一つ前の近況ノートとセットの話)