朝からずっと雨が降っている。窓ガラスを伝う雨粒を、ただじっと見つめていた。雨の日の空は、いつもよりもずっと低く、街全体を柔らかい光で包んでいるみたい。
そんな静かな時間の中で、私は一つの小さな発見をした。
部屋の隅に置いてある、使い込まれた古い地球儀。しばらく触っていなかったその表面に、一筋の光が差し込んでいるのが見えた。よく見ると、光の筋は地球儀の凹凸に沿って、大陸や山脈をまるで川のように流れていく。光と影が織りなすその模様は、私が今まで知っていた世界地図とは全く違って見えた。
遠い国の知らない景色が、目の前に広がっているような気がした。
いつか、この光が描く道をたどって、まだ見ぬ世界を旅してみたい。そんなことを考えながら、私はそっと地球儀に手を伸ばした。
