34. Winterurlaub
ヴィンター・ウアラオプ、冬季休暇
Urlaubはドイツ人の大好きなものです。
舞台のホテルは南ドイツ、バイエルン州の山奥シュロス・エルマウをイメージ。高級スパ・ホテルです。
35. elektromagnetische Repulsion
エレクトロマグネティッシェ・レプルズィオーン、電磁的斥力
英語からの転用なので普通にリパルションって読むかも。
磁石のように向かい合わせでも背中合わせでも近づき合えない、相手の背中を追いかけることしかできない不器用な二人の関係です。
36. das begrenzte Leben
ベグレンツテ・レーベン、有限の命
やたら登場するハンバーガーですが、お互いの一筋縄ではいかない関係や不器用な思いやりを象徴するには相応しいチープなアイテムといえます。
37. Gäste
ゲステ、客人
高級ホテルでの休暇を提案したのはどうやら連邦軍ではない模様。招かれた客はヒルデガルトとヘルマンだけでなく、カドケウスの女も。
38. Referat 1221
レフェラート・ツヴェルフ・アインウントツヴァンツィヒ、1221号報告書
39. Moorbrand
モーアブラント、野火
Moorは泥炭地を意味します。
この話とタイトルは2018年に実際に起きた大規模な火災から着想を得ました。9月末に連邦軍の技術研究所WTD91の敷地内で対地ミサイルの試験が行われ、その飛び火が荒野に燃え移り、1ヶ月近く燃え続けました。当時はヨーロッパに大規模な干ばつが発生していました。さらに敷地内の地中には泥炭が存在していたこともあり、一度ついた火は簡単には消えなかったということです。
リアルタイムに事件を見ていたのですが、真っ黒な荒野や大量の煙、火災をめぐるメディアの反応など刺激を得るものがありました。
Brunennit
ブルネニット
ブルネンは泉、直訳して泉の石です。フェーゲライン人にとっては貴重な物質、青く透き通る結晶体。
Artefakt
アーテファクト、古代遺物
40. Bluteneid
ブルーテン・アイト、血の誓約
時系列の混乱を避けるため「回想」と銘打ってあります。ヒルデガルトの忠臣コンスタンツが過去を回想しています。
荒廃したフェーゲライン人の精神世界や歪んだ人生観、神や君主のいない内紛の世界を描いています。生まれたばかりのヒルデガルトは社会性や倫理観を持ち合わせておらず、家庭の医学を初めて読んでいたり、コンスタンツの気持ちを思いやることすらしない傍若無人さを発揮しています。
Konstanz Wölf
ヴェルフは狼の複数形ヴェルフェWölfeから語尾を落としたものです。群狼のコンスタンツ。一匹で群狼。
フェーゲライン人はキリスト教に因縁があるのでキリスト教由来の名前を使わないのですが、ヒルデガルトはそういった事情を知らない本の虫なので、そういう名前を付けてしまうわけです。
なおフェーゲラインでは古高ドイツ語から派生したフェーゲライン語が話されています。